米司法省は、連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事が住宅ローン申請で虚偽の情報を記載した疑いがあるとして、刑事捜査を開始した。トランプ大統領がクック理事の解任を進める中、同氏に対する圧力が一段と強まっている。

事情に詳しい複数の関係者によれば、連邦検察当局はクック氏が住宅ローン申請に関して不正確な情報を提供したとの疑いに関連し、情報提供を求める召喚状を発行した。進行中の捜査であることから、関係者はいずれも匿名を条件に語った。

ミシガン州およびジョージア州の不動産を巡り、クック氏が住宅ローン詐欺を働いたと、パルト連邦住宅金融局(FHFA)局長が主張したことを受け、トランプ氏は先月、クック氏の解任を表明していた。これに対し、クック氏はトランプ政権を提訴。同氏の弁護士は大統領には正当な解任理由がないと主張している。

クックFRB理事

クック氏の弁護士アビー・ローウェル氏は4日の声明で、クック氏に不正はなかったと改めて主張。「クック理事がこれまでに自身の不動産をどのように記載してきたかという点については、係争中の訴訟の中で既に対応を始めており、今後も引き続き説明していく意向だ。これらは詐欺に当たるものではない。しかし司法省にとっては、政治的な思惑に基づく新たな捜査を始めるのに理由は要らないようで、今回もまたそのような対応を取ったようだ」と述べた。

司法省はコメントの要請に対して現時点で応じていない。この捜査については、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が4日、これより先に報じていた。

一方、司法省は4日、解任差し止めを求めるクック氏からの仮処分申請に対し、トランプ氏による更迭を支持する新たな主張を裁判所に提出。解任はクック氏を排除し金利を引き下げるための口実だという同氏側の主張に「根拠はない」と訴えた。

同省は提出書類で「クック氏が大統領と意見を異にしていたとしても、それを理由に不正行為から免責されることはなく、正当な理由に基づく解任を妨げることにもならない」とし、仮処分申請を却下するよう裁判所に求めた。

原題:Justice Department Probing Lisa Cook for Mortgage Fraud (2)(抜粋)

(司法省の新たな提出書類を追加して更新します)

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