欧州で記録的な猛暑が続いたが、9月の気温も平年より高くなりそうだ。来月の暖房シーズン入りにまで影響が及ぶ可能性がある。

英リーズを拠点とする気象分析会社メットスウィフトの主任気象予報士、ジェームズ・ピーコック氏は「特に暑かった夏の直後であることを考えると、平年より気温が少し高くなるのは避けられないだろう」と話す。

フランス気象局の季節予報によれば、平年より気温が高い傾向は中欧で9月いっぱい、さらに冬が始まるまで続く可能性もある。実際にそうなれば、ガスの備蓄が進み、冬季の暖房燃料不足を巡る懸念は後退するとみられる。

 

一方、英気象庁によると、英国や北西欧では9月に再び猛暑となる可能性は低下している。ただ、気象分析会社メットデスクはスペインや北欧、東欧では9月半ばにかけて気温が高い日が続くと予想しており、一部地域では日照によって太陽光発電量の増加が見込まれている。

太平洋赤道域の海面水温が平年を下回るラニーニャ現象が発生する可能性が高まっているにもかかわらず、欧州では9月も高温が続きそうだ。世界気象機関(WMO)は2日、今月にもラニーニャ現象が起き得るとの見解を示したが、世界の気温を大幅に下げる公算は小さい。

メットスウィフトのピーコック氏は、暖かい空気はより多くの水分を含み、海のからの蒸発を促して風雨が強まるとし、欧州の猛暑によって、英国では9月に激しい降雨となる可能性が高まっていると指摘。「予測モデルでは近いうちに雨が多くなると見込まれている」と述べた。

英気象庁も9月に頻繁な降雨を予想しているが、記録的な猛暑と干ばつに見舞われた夏の影響で深刻化した水不足を解消するには至らない見込みだ。

同庁の気象予報士アレックス・バーキル氏は予報に関する記者会見で、「河川や貯水池を回復させるには、秋から冬にかけてまとまった雨がさらに必要になる」と述べた。

原題:Europe Set for Warm September Before Start of Heating Season(抜粋)

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