(ブルームバーグ):米証券取引所ナスダックは、小規模な新規株式公開(IPO)を目指す企業が新規上場および上場維持に向けて順守すべきルールの見直しを進めている。極端な値動きから投資家を保護し、市場の流動性を改善する狙いがある。
ナスダックは3日、上場する小規模企業向けの新たな基準案を公表した。中国に拠点を置く企業が新規上場する際の追加要件も盛り込まれた。
ナスダックによると、基準案は米証券取引委員会(SEC)の承認が前提で、以下の三つの変更点が含まれている。
ナスダック市場では、時価総額が小さく流動性の乏しい企業の株価が異常な変動を見せる事例が相次ぎ、懸念が高まっている。
漢方薬に特化した香港拠点のバイオテクノロジー企業、リジェンセル・バイオサイエンス・ホールディングス(RGC)はこれまで売り上げを計上したことがないにもかかわらず、今年の株価が一時8万2000%も急騰。その後は急落した。
また、中国のヘルスケア企業フェトン・ホールディングスは、わずか数分で時価総額の90%を失う急落に見舞われた。
ナスダックは今回の取り組みについて、トレーディング活動を積極的に調査した結果だと説明。米国市場におけるクロスマーケット取引環境では特に、意図的に株価をつり上げて売り抜ける「パンプ・アンド・ダンプ」と呼ばれる市場操作に関連した取引パターンが発生していると警告した。
ナスダックは昨年、特に中国や香港からの小規模なIPOに対する審査を強化した。これらのIPO後に急激な株価変動が一部で見られたためという。近年、アジアの小規模企業が母国以外で資金調達を行うために米国市場に上場するケースが増えている。
米議会の諮問機関、米中経済安全保障調査委員会(USCC)が3月に公表した報告書によれば、ナスダックやニューヨーク証券取引所(NYSE)など米国主要株式市場に上場している中国企業は280社を超え、時価総額は合計1兆1000億ドルに達している。
ここ最近は中国企業による数十億ドル規模の米市場向け大型IPOが鳴りを潜め、小規模企業による海外での新規上場が大半を占めている。USCCの報告書によれば、2024年の中国企業によるIPOでは平均調達額がわずか5000万ドルと、21年の3億ドル超から減少している。
原題:Nasdaq Revamps Listing Rules for Small IPOs and Chinese Firms(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.