国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)のコヘアドラゴ議長は、トランプ米政権下で強まる環境対策への逆風に動じず、温暖化対策の強化に向け開催地に集まるよう企業トップに訴えた。

気候変動対策について話し合うCOP30は11月、ブラジル・アマゾン地域の都市ベレンで開催予定だ。

コヘアドラゴ氏は、トランプ大統領による関税措置や再生可能エネルギーへの敵対的な姿勢がクリーンエネルギーへの移行を阻害する可能性があるという懸念を和らげようとした。ブルームバーグのインタビューに答えた。

同氏は、風力や太陽光といった再生可能エネルギーに対する攻撃を巡り、環境重視の経済への移行によって化石燃料を扱う企業の利益が脅かされつつあることの表れだとの見方を示した。

その上で「この会議の成功は、一部の企業や利害関係者にとって課題となっている」とコメントし、各国が掲げた目標を実行に移すためにも民間企業に積極的に参加するよう呼びかけた。

気候変動対策に対するトランプ氏の否定的な姿勢は、産業界に波紋を広げてきた。同氏は風力発電プロジェクトの停止に動いている。金融機関は反ESG(環境・社会・企業統治)の動きを恐れ、気候変動関連の取り組みを見直している状況だ。

こうした状況で、どれほどの数の経営者がブラジルでの気候関連会議に足を運ぶのかは不透明だ。

銀行業界の主要気候変動対策グループ「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」は、メンバーの脱退が世界に拡大する中で活動を一時停止し、現在の枠組みの見直しを巡る投票に動き出した。企業が抱えるジレンマを浮き彫りにした動きの一つとなる。

コヘアドラゴ氏は先週公表した文書で、民間部門に対し「後退ではなく前進」を求めた。

ただCOP30の準備を巡っては、アマゾン地域にあるベレンの宿泊施設不足や物価の高騰といった問題も立ちはだかっている。

コヘアドラゴ氏は、民間部門の参加者は、各国の交渉担当者に比べて短期間の参加となりやすく、ベレンでこうした問題に直面することはそれほどないだろうとの見方を示している。

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原題:COP30 Chief Calls on CEOs to Come to Brazil in Rebuff to Trump(抜粋)

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