(ブルームバーグ):米医薬品大手のファイザーは新型コロナウイルスのワクチンについて、その開発に至った研究を擁護する声明をウェブサイトに掲載した。同社がワクチンに関して情報を隠しているのではないかと、トランプ米大統領が週末、ソーシャルメディアで展開した批判に直接反論した。
ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は「事実に基づく明確なデータの開示を続けることに、当社は全力を尽くしている」と声明で述べ、同社のコロナワクチンに関するデータは600を超える査読済み論文で公開されていると主張した。
ブーラ氏はまた、第1次トランプ政権下で実施された「ワープスピード作戦」に言及。ワクチン開発を促したトランプ氏の指導力を称賛し、「その影響力の大きさは、通常であればノーベル平和賞に値する」と述べた。
近年、ワクチンは政治的な争点となっており、その安全性や有効性が広く認められているにもかかわらず、そうした証拠に疑問を呈する声が上がっている。トランプ政権はこうした懸念をさらに助長しており、特にワクチン批判で有名なロバート・F・ケネディ・ジュニア氏を厚生長官に任命してからは、その傾向が強まっている。こうした変化により、製薬会社は製品への信頼が揺らぐ中で、自らの研究成果を擁護する必要に迫られている。
米政府はケネディ厚生長官の指揮下で、新型コロナワクチンの接種対象者を大幅に縮小した。同長官は米疾病対策センター(CDC)所長を解任し、ワクチンへのアクセスを決定する重要な役割を担う諮問委員会に、ワクチン批判の人物を複数任命した。
トランプ氏は投稿で、新型コロナのワクチンが「何百万人もの命を救った奇跡」だと考える人は多いだろうが、異論を唱える人もいると述べた。さらにファイザーなど製薬会社はワクチンに関する「驚くべき」情報を隠しており、そうした透明性の欠如がCDCを崩壊させていると持論を展開した。
ファイザーは透明性を求めるトランプ氏の訴えに同意すると述べ、ブーラCEOはワクチンに関する研究を説明する自社ウェブサイトを紹介し、今月中にさらなる情報と研究を追加するとしている。
ブーラ氏は4月にアナリスト会合で、トランプ氏がその指導力をノーベル賞という形で評価されていないのは不公平だとの見方を示した。
ファイザーでは2024年売上高のうち20%近くを、新型コロナのワクチンと経口治療薬が占めた。同社の新型コロナワクチンによる売上高は通常、秋と冬に集中するため、対象者の大幅縮小は事業全体を圧迫しかねない。
原題:Pfizer Defends Covid Shot, Says Trump Deserves Nobel Prize (1)(抜粋)
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