(ブルームバーグ):欧州最大の自動車メーカー、独フォルクスワーゲン(VW)は小型車「ポロ」の伝統を引き継ぐ電気自動車(EV)を投入する。欧州の大衆車市場に押し寄せる中国メーカーに対抗する狙いがある。
VWは3日、カモフラージュの模様を施した試作車「ID.ポロ」を発表した。価格は2万5000ユーロ(約430万円)未満に設定され、来年発売される見通しだ。大ヒットしたモデルの名前を冠したこの新型車は、比亜迪(BYD)や浙江吉利控股集団といった中国勢の低価格EVに対抗し、電動版の「国民車」を実現しようとするVWの取り組みの一環となる。
ID.ポロの投入により、「かつてないほど多くの人々にEVが手の届くものになる」とVWは発表文で説明。また、従来は数字で区別していた「ID」シリーズの名称に、今後は知名度の高いモデル名を用いる方針も明らかにした。新型車は来週、ミュンヘン国際自動車ショーで公開される予定だ。
VWは貿易障壁の高まりや欧州市場の停滞、中国での販売減少に直面し、厳しい局面にある。一方で中国勢は欧州市場で存在感を拡大しており、BYDのハッチバック「ドルフィン・サーフ」はドイツで約2万3000ユーロから販売されるなど、競争力のある価格で攻勢をかけている。
それでも明るい材料はある。VWグループのEV販売は4-6月(第2四半期)に欧州で73%急増した。VW「ID.5」やアウディ「Q4e-tron」、シュコダ「エンヤック」などの堅調な需要がけん引した。VWブランドはソフトウエアの改善に加え、イーロン・マスク氏の政治的活動を理由に米テスラを敬遠する購入者が増えていることからも恩恵を受けている。
ポロを電動化することで、VWは内燃機関時代に築いた影響力をEV時代にも引き継ぐ構えだ。ポロは1975年の発売以来、累計2000万台超を販売したVWの代表的な小型車で、ブランドの入門モデルとして位置付けられてきた。
原題:Volkswagen Unveils Budget EV to Slow China’s European Expansion(抜粋)
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