(ブルームバーグ):9月1週(1ー5日)の日本株は膠着(こうちゃく)感が強まる見通し。米国で雇用統計など重要指標の発表が相次ぐことから、経済の現状や金融政策の行方を見極めたいとして積極的な売買は手控えられそうだ。
米国で2日に8月の供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数、4日にISM非製造業総合景況指数、5日に8月の雇用統計の発表がある。ブルームバーグが集計したエコノミスト予想では、ISM指数はいずれも改善方向、雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比7.8万人の増加(前回は7.3万人増)が予想されている。
中でも7月に過去分が大幅下方修正となった雇用統計は注目度が高く、雇用情勢の悪化が一段と鮮明になれば景気懸念が急速に強まり、株価の下げ圧力になりやすい。一方、市場では9月中旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が強まっており、売りを和らげる可能性がある。
国内では1日に4-6月期の法人企業統計、2日に日本銀行の氷見野副総裁の講演や参院選を総括する自民党両院議員総会、5日に7月の毎月勤労統計などが予定されている。両院議員総会で臨時総裁選の観測が強まるようなら次期政権での財政拡大が意識され、株式相場の支えになりそうだ。8月4週の東証株価指数(TOPIX)は週間で0.8%安と続落した。
《市場関係者の見方》
セゾン投信の瀬下哲雄マルチマネジャー運用部長
様子見で横ばい圏での動きになるだろう。株式市場は米国の雇用が本当に弱いのか半信半疑で、今回が悪いと本格的な景気後退を意識するきっかけとなりやすい。一方で過去分が下方修正ばかりになるとも限らないため、動きづらい。日本株は過熱気味ではあるが、グローバルで見ると相対的に海外に近づいてきたに過ぎない。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャー
もみ合いの展開になりそう。ジャクソンホール会合と米エヌビディアの決算発表を終え、次はFOMCに向けて経済指標に敏感な相場になる。雇用統計で大きく相場が動く可能性があり、取引しづらい。氷見野日銀副総裁の講演は、今の政治状況を見ていると9月の利上げは難しいとみられ、無難に終わるのではないか。
--取材協力:横山桃花.
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