ソフトバンクグループは29日、2000億円の劣後債の発行条件を決定した。実質5年物の利率は4.556%となり、今年の国内企業による円建て社債では、日本航空の永久劣後債を上回り最高となった。

起債したのは最終償還年限が35年で、発行から5年後に期限前償還(コール)が可能になる劣後債。コールまでの期間が実質的な年限と見なされる。主幹事の大和証券によると、国債に対する上乗せ金利(スプレッド)は340ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)。利率は10年国債利回りの約3倍に相当する。

7月に開催されたソフトバンクGのイベントにて

ソフトバンクGは人工知能(AI)インフラに4年間で5000億ドル(約73兆円)を投じる「スターゲート」計画を進めている。巨額投資を背景に資金需要が膨らみ、ブルームバーグのデータによれば、今年の国内での社債発行額は8200億円と日本企業で最大になった。

土屋アセットマネジメントの土屋剛俊社長は、ソフトバンクGの資金需要は依然として強いと指摘。金利の先高観がある状況で、格付けへの影響も踏まえれば「資本性のある資金を厚めに確保しておくのは理にかなっている」と話した。

2000億円の発行額は、同社の国内機関投資家向けとしては過去最大。大和証によれば、最終需要は1.4倍の2700億円だった。ソフトバンクGは当初、発行額を1000億円程度としていたが、需要調査を受けて増額した。

大和証シンジケート課の鈴木里菜上席課長代理は、劣後債の供給は国内では「限定的」で、「利回りの高さが訴求した」と述べた。また、ソフトバンクGの業績が堅調で、株価が高水準にあることも投資家の支持を集めるのに「プラス」に作用したという。

今回発行する劣後債は会計上は有利子負債だが、超長期の償還期限など資本に近い性質を持つため、格付け会社からは調達額の5割が資本と認定される。同社は発表資料で、調達資金は2026年2月に初回コール日を迎える国内劣後債の借り換え資金の一部などに充てると説明した。

(第5段落以降に主幹事のコメントなどを追加しました)

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