国際原子力機関(IAEA)は、2カ月前の米国による攻撃以降、イランのイスファハンの施設から核兵器級に近いウランが移動された証拠は衛星画像では確認されていないと説明。その上でイランに対し、監視活動を再開できるよう国際義務を履行するよう求めた。

IAEAのグロッシ事務局長は27日、ワシントンで記者団に対し、ウランが「依然として同じ場所にあるとの見解に反する証拠は何もない」と指摘。損傷を受けた施設の検査について、「作業は始まったが、私が望む段階にはまだ至っていない。その点について隠すことはしない」と付け加えた。

イランによる核兵器級に近いウランの備蓄をIAEAが把握できていないとの懸念が強まる中、グロッシ氏はルビオ米国務長官やウィトコフ中東担当特使ら米当局者と会談した。

事情に詳しい外交官3人によると、グロッシ氏の主任査察官は、6月に起きたイスラエルとイランによる12日間の戦闘後、イランから監視再開の承認を得ようと試みたが、失敗に終わったという。外交官らは匿名を条件に語った。

イランが保有する409キログラムの高濃縮ウランの所在は6月の戦闘開始以降に確認されていない。イランは査察官に対し、兵器級に近いウランを未申告の場所に移す用意があると伝えていた。

原題:No Evidence Iran Nuclear Material Has Moved, UN Watchdog Says(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.