ドイツの防衛企業ラインメタルは、当初の予定からやや遅れて欧州最大の弾薬工場を開所した。ウクライナに対する安全の保証を巡る議論が加速し、ドイツは軍事力の大幅増強に向けて動いている。

27日にウンターリュースで行われた工場の正式な開所式で、アーミン・パッペルガー最高経営責任者(CEO)は、同様の工場を他の北大西洋条約機構(NATO)に建設し、「汎欧州型の防衛エコシステム」を築くことができると語った。

「本気になれば、ドイツは速く動ける」とパッペルガー氏は述べ、「かつてないほど安全保障を自ら担うことが必要とされている欧州の一員として、ドイツは責任を果たしていく」と続けた。

開所式にはクリングバイル副首相兼財務相、ピストリウス国防相、NATOのルッテ事務総長も出席した。

ルッテ氏は、この新工場のような生産拠点がNATO自身の安全保障やウクライナ防衛への支援維持、「将来のあらゆる侵略抑止」に「絶対的に欠かせない」と主張。

「抑止力は、潜在的な敵と実際に戦える能力から生まれる。この点で、ラインメタルは極めて重要だ」と述べた。

この工場は昨年初め、当時のショルツ首相立ち会いのもとで建設が始まり、今年の春の終わりから初夏にかけての開所が見込まれていた。

今年4-6月(第2四半期)から試運転は始まっており、フル稼働する27年以降は年間で最大35万発の生産能力を持つ予定。工場は2棟から成り、1棟は155ミリ弾の生産を、もう1棟は装てんや組み立て、包装を担う。

投資額は約5億ユーロ(約860億円)で、500人余りの雇用が創出される予定。ラインメタルは同工場で、26年からロケット弾の生産も行う計画だ。

パッペルガー氏は27日、ルーマニアに新たな火薬工場を建設することで同国経済相と正式な契約も結んだ。同氏によると、1年半程度で工場は完成する見込み。

「ルーマニア政府とラインメタルは、約5億5000万ユーロを投資する」とパッペルガー氏は述べ、同社が過去2年半に投資した額は合計でおよそ90億ユーロに上ると説明した。

原題:Rheinmetall Opens Europe’s Largest Artillery Shell Factory(1)(抜粋)

(第5、6段落にルッテNATO事務総長の発言を、最終2段落にルーマニア工場に関する情報を挿入します)

--取材協力:Slav Okov.

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