(ブルームバーグ):パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が慎重ながら9月の利下げに道を開いたことで、米国債が上昇し、ドルは下落した。パウエル氏はインフレを巡る懸念を挙げつつも、労働市場のリスクを指摘した。
米国債利回りは全年限で下がり、金融政策の変更に対する感応度の高い2年債利回りは一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。10年債利回りは4.25%と1週間ぶりの低水準となった。
ドルは円に対する下落率が一時1%に達し、146円83銭を付けた。この下落率は8月1日以来の大きさ。

ワイオミング州ジャクソンホールで開かれているカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(ジャクソンホール会合)での講演向け準備原稿で、パウエル氏は「失業率など労働市場の指標の安定により、われわれは政策スタンスの変更を検討する上で慎重に進むことが可能になる」との認識を示した。

これが伝わるやいなや、短期金融市場では9月の0.25ポイント利下げ確率が上昇し、85%余りに達した。パウエル氏の原稿内容が伝わる前は65%程度だった。年内では2回の利下げが見込まれている。
クレディ・アグリコルCIBのG10為替調査・戦略責任者、バレンティン・マリノフ氏は「パウエル氏の講演は根強いインフレから労働市場の弱さにリスクが変化したことを示唆するなど、ややハト派寄りな響きがする」と指摘。「9月の利下げに向け、一段の地ならしをしている様子だ」と述べた。
原題:Treasuries Jump as Powell Says Risks May Warrant Cutting Rates(抜粋)
*YEN UP 1% TO SESSION HIGH 146.83 PER USD, BEST DAY SINCE AUG. 1
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