欧州中央銀行(ECB)のドラギ前総裁は22日、今年に入ってからの一連の出来事によって厳しい現実が突きつけられたと述べた。ドラギ氏によれば、欧州連合(EU)はもはや、域内の力強い経済力によって国際的な地位や影響力を行使できると考えることはできない。

ドラギ氏はイタリアのリミニで講演。「今年は、この幻想が消え去った年として記憶されるだろう」と語った。

ローマ・カトリック教会の年次集会でドラギ氏は、「われわれは最大の貿易相手国であり長年の同盟国である米国が課した関税を受け入れざるを得なかった」と述べた。

また「その同盟国から軍事支出の増額を迫られた。この決定は本来必要であったかもしれないが、欧州の利益を反映していない形や方法で実施された可能性がある」と続けた。

ドラギ氏はさらに、EUがイランおよびパレスチナ自治区ガザにおける紛争では「傍観者」の立場であり、ウクライナでの戦争の終結に向けた和平交渉でも「比較的小さな役割」しか果たしていないと指摘した。同氏によれば、EUはウクライナ支援に最も貢献しており、「公正な平和」への関心は極めて強い。

同氏は「こうした出来事は、経済力がそのまま地政学的影響力につながるという幻想を覆した」と述べた。

原題:Draghi Says ‘Illusion’ of EU as a Global Power Dashed in 2025

(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.