トランプ米大統領は、米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事について、辞任しなければ解任する意向を示した。

クック氏を巡っては、トランプ氏に近いパルト連邦住宅金融局(FHFA)局長が住宅ローン契約を巡り不正があったと主張。これを受けて、トランプ氏は20日、クック氏に辞任を要求していた。クック氏はこれまで、辞任を強要されるつもりはないと述べている。

「辞任しないなら、解任する」と、トランプ氏は22日、ワシントンで記者団に語った。

今回のトランプ氏の発言で、FRBへの圧力が一段と強まった形だ。トランプ氏はここ数カ月、FRBが金利を据え置いていることに繰り返し不満を表明。金融政策運営やFRB本部ビルの改修を巡り、パウエル議長に批判の矛先を向けている。

仮にクック氏が辞任に追い込まれれば、FRB理事ポストにまた1つ空席が生じることになり、利下げを求めるトランプ氏にとっては人事を通じて影響力を行使する余地が広がる。

FRBの運営について定める連邦準備制度法の10条は、理事会メンバーを解任できるのは「正当な理由」がある場合と規定している。トランプ氏はパウエル議長の解任をたびたび示唆してきたが、米連邦最高裁判所は5月、パウエル氏を含む理事会メンバーを正当な理由なく解任することは認められないとの見解を示唆した。

トランプ氏が発言したのは、まさにパウエル議長がジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)で注目の講演を行っている最中だった。

最近FRBを提訴して話題を集めたトランプ氏寄りの投資家、ジェームズ・フィッシュバック氏は、ジャクソンホール会合に姿を現したクック氏に対して「なぜ住宅ローン詐欺を行ったのか」と繰り返し叫び、会場のホテルロビーから退場させられた。

原題:Trump Says He’ll Fire Fed’s Cook If She Doesn’t Resign (2)(抜粋)

(最終3段落を追加して更新します)

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