債券投資家は22日に予定されているパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の注目の講演で、9月に利下げを開始する方針が示唆されると予想している。

パウエル議長はワイオミング州ジャクソンホールで開かれるFRBの年次シンポジウムで、米東部時間午前10時(日本時間午後11時)から講演を行う。ここ数年、パウエル氏は同シンポジウムの講演機会を利用し、市場に影響を与える政策関連の発言を行っており、投資家は今回、議長が利下げ観測に反論するかどうかを注視している。

金利スワップ市場では、他のFRB当局者によるタカ派的発言や強弱まちまちな経済指標を受け、利下げ観測が後退しているものの、9月会合での0.25ポイント利下げについて約70%の確率が織り込まれている。

米金融当局は政策金利を昨年12月以降、4.25-4.5%に据え置いているが、パウエル議長はトランプ大統領やホワイトハウス高官らから利下げ再開を求める圧力を受けており、今回の講演ではFRBの政策の独立性を強調する場面も予想される。

講演がタカ派的な内容となれば、短期国債利回りが圧力を受ける可能性がある。オプション市場では、9月の大幅利下げや年内の計0.75ポイントの利下げを見込んだ大口取引も活発となっており、これらにも影響が及びかねない。

ミシュラー・フィナンシャル・グループのマネジングディレクター、トム・ディ・ガロマ氏は「タカ派的な内容となり、議長が利下げに傾いていない可能性が十分にある」と述べた。

パウエル氏は政策の柔軟性を維持するため、9月の政策決定は今後発表される雇用統計やインフレ指標次第になると投資家に念押しする可能性もある。

グレンミードで投資戦略・調査部門を統括するジェイソン・プライド氏は「議長は9月の政策決定について、利下げの道筋で確定したくないだろう。経済指標が利下げ検討に十分なほど弱まっているとの認識を示唆する方向に少し傾くだろう」と語った。

原題:Bond Market Rate-Cut Bets Face Powell Reckoning at Jackson Hole(抜粋)

--取材協力:Kristine Aquino.

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