7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、電気・都市ガス代の下落で前年比上昇率が前月から鈍化したものの、8カ月連続で3%台となった。

総務省の22日の発表によると、コアCPIは前年比3.1%上昇と伸びは前月(3.3%上昇)から縮小した。市場予想(3.0%上昇)は上回った。日銀の目標の2%を上回るのは40カ月連続となる。

生鮮食品を除く食料は8.3%上昇と2023年9月以来の高い伸び。コメ類は90.7%上昇と2カ月連続で伸びが鈍化した。一方、政府補助金の終了で前年同月に大きく値上がりした反動で電気代と都市ガス代が下落。エネルギー全体では0.3%低下と昨年3月以来のマイナスに転じた。

 

生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは3.4%上昇と前月から横ばいで、3%台は4カ月連続。総合指数は3.1%上昇と伸びが縮小した。いずれも市場予想と一致した。

日銀は7月の金融政策決定会合で、2025年度のコアCPI見通しを2.7%上昇と大幅に引き上げたが、記者会見で植田和男総裁は政策対応が遅れるリスクを否定した。今回のCPIは、物価の上振れリスクなどを背景に強まりつつある年内利上げ観測をサポートする内容と言える。

第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは、今回の結果について「物価指標だけ見れば、日銀はいつでも利上げできるような状況」と指摘。早期利上げの可能性も排除できないのものの、賃上げのモメンタムを確認する必要性を考えると、「12月または1月くらいまでは待つ」可能性が高いとみる。

賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.5%上昇となり、前月から変わらず。今年の春闘の賃上げ率が2年連続で5%台と高水準になる中で、賃金から物価への波及が継続するかが注目されている。

ブルームバーグがエコノミスト45人を対象に1日に行った調査では、次の日銀利上げ時期について10月が最多の42%、次いで来年1月が33%、12月が11%となった。

総務省の説明

  • 7月の総合とコアの上昇幅縮小はエネルギー価格が下落に転じたことなどが要因
  • ルームエアコンなどの家庭用耐久財やノート・パソコンといった教養娯楽用耐久財も押し下げに寄与
  • 押し上げに寄与した生鮮食品を除く食料は、チョコレートや鶏肉などの価格上昇を反映。伸び率が前月を上回るのは12カ月連続

(エコノミストコメントや総務省の説明などを追加して更新しました)

--取材協力:藤岡徹.

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