(ブルームバーグ):抹茶ブームが広がるなか、ニューヨークでは需給逼迫を受けて容量縮小や値上げなどの対応策を打ち出す販売業者が相次いでいる。
抹茶専門店「マッチャフル(Matchaful)」は抹茶ラテの容量を4分の1減らすことで原材料費を抑え、店頭価格を据え置いている。同カフェを複数店舗経営する創業者のハンナ・ヘイブス氏は、卸売や電子商取引(EC)の顧客向けには価格を最大30%引き上げる方針をすでに固めている。

「需要のすべてに応えきれていない」とヘイブス氏は語る。今年に入り、同社店舗の売上高は約4割増えたという。「抹茶業界全体が今、その影響を間違いなく感じている」とも述べた。
抹茶への関心が世界的に急速に高まる一方、供給は弱含んでいる。最大の輸出国である日本では、異常気象や関税の影響で生産が伸び悩んでいる。
ニューヨーク市内にある別の抹茶専門店「ケトル(Kettl)」も状況は同じだ。約400の卸売顧客の多くに対し、最大10%の値上げを実施した。日本の抹茶供給元が一部商品の価格を200%引き上げたことを受けた措置だ。
ケトル創業者のザック・マンガン氏は「こうした価格面での制約があるなか、成長をどう続けられるかが課題になってくる」と語った。
抹茶不足の背景には製造工程の特性もある。原料の「てん茶」は手間のかかる日陰栽培が必要で、高品質な茶葉の収穫時期は限られる。その後、蒸して乾燥させた葉を石臼などで挽き、抹茶となる。
マッチャフルの主要供給元である静岡県の会社、流通サービスを経営する服部吉明氏は、近年の高気温などが供給難に拍車をかけていると述べた。同氏の農園では昨年の収穫量が約25%減少。総生産量の最大7倍に達する注文が寄せられ、価格を引き上げたという。
服部氏は、世界的に抹茶ブームが始まっていると指摘。これまで抹茶を消費してこなかった地域からの引き合いも多く、今後も不足が続くとの見通しを示した。
原題:NYC Matcha Cafe Shrinks Cup Size to Offset Shortage, Price Hikes(抜粋)
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