ロシアのプーチン大統領は、15日に米アラスカ州で予定されている米ロ首脳会談を翌日に控え、トランプ米大統領との関係強化を目指す姿勢を鮮明にした。ウクライナでの戦争終結を目指すトランプ氏の姿勢を称賛するとともに、両国間の経済協力や新たな軍縮条約の可能性にも言及した。

今回の首脳会談において、ウクライナとの戦争は米ロ関係改善に向けた一つの要素に過ぎないと位置づけたい思惑が透ける。

ロシアの国営タス通信によると、米ロ首脳会談は現地時間の午前11時30分(日本時間16日午前4時30分)に開始。まず、プーチン、トランプ両氏が1対1での会談を行い、その後、両国代表団による協議が続く。ロシア大統領府は、首脳会談後に共同記者会見を開く予定だとしているが、トランプ氏は14日のFOXニュースの番組で、記者会見は開くが、共同となるかは分からないと述べた。

プーチン氏は14日に開催したロシア大統領府高官との会合で、米国がウクライナとの戦闘を止めるため「非常に精力的かつ誠実な努力」をしていると称賛。戦略的攻撃兵器の管理に関する合意は「両国間、欧州、世界全体に、長期的に平和な状況をもたらす」として、新たな軍縮条約の策定着手に向けて意欲を示した。

こうした発言からは、自らをディールメーカーと位置づけ、和平の仲介者となることを望むトランプ氏が重視するテーマを意識していることがうかがわれる。またウクライナでの停戦にプーチン氏が応じない場合、「非常に重大な結果」をもたらすとしたトランプ氏の警告も背景にありそうだ。

2回目の会談

トランプ氏自身が首脳会談を「感触を探る」機会と表現するなど、米政権関係者は今週、会談への期待値を抑える発言を繰り返している。

トランプ氏はFOXの番組で、首脳会談が成功しない可能性が「25%ある」と述べた。またウクライナのゼレンスキー大統領も参加するとみられる2回目の会談に向けた土台作りとの考えを改めて表明。

「この会談は2回目の会談の布石になる。2回目の会談は極めて重要になる。なぜなら、その場で取引が成立するからだ。『分け合う』という言葉は使いたくないが、ある程度そういうことになるだろう」と語った。

その後、ホワイトハウスでのイベントでは、2回目の会談について「プーチン大統領、ゼレンスキー大統領、そして私が会談することになる。欧州の首脳を何人か同行させるかもしれないし、しないかもしれない」と発言。

さらに「次の会談に向けた準備を整えたい。今回の会談の直後、できるだけ早くすぐにでも開催したい。そのまま滞在してアラスカで実施するのも良い。はるかにやりやすいからだ」と語った。

トランプ氏は今回の会談について、あくまで第一歩だとけん制しつつも、楽観的な見方も表明。「プーチン大統領は和平に応じると思う。ゼレンスキー大統領も和平に応じると思う。両者がうまくやれるかどうか見守りたい。もしそうなれば素晴らしいことだ」と述べた。

トランプ氏はプーチン氏との首脳会談に先立って13日に行った欧州首脳との電話会談後、ゼレンスキー大統領も加えて「速やかな第2回目の会談」を設定したいとの考えを示していた。

経済協力も協議

タス通信によると、ウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)は14日、アラスカでの会談ではウクライナとの戦争終結に焦点を当てる一方、トランプ氏とプーチン氏が二国間の経済協力についても協議すると述べた。トランプ氏はこれまで、和平の副産物として米ロ間の経済関係を再構築する構想に度々言及しているほか、関税政策を用いて他国に紛争終結を促したと主張している。

ロシア側からは、ラブロフ外相、ベロウソフ国防相、シルアノフ財務相、ウシャコフ氏に加え、プーチン大統領の経済特使キリル・ドミトリエフ氏も参加する。代表団の陣容を踏まえると、将来的な事業案件についても協議する可能性がある。

原題:Putin Woos Trump While US Leader Tempers Summit Expectations (1)(抜粋)

(トランプ氏の発言など詳細を加えて更新します)

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