(ブルームバーグ):経済産業省と財務省は13日、中国と韓国産の一部鉄鋼製品について反ダンピング(不当廉売)調査を始めると発表した。
発表によると、日本製鉄や神戸製鋼など4社から4月に不当廉売関税の課税について申請があり、調査する必要があると認めた。対象は建築部材などとして使われる溶融亜鉛めっき鋼帯と鋼板で、原則として調査は1年以内に終了する。
両省は7月にも中国と台湾産のニッケル系ステンレス冷延鋼帯と鋼板に対する反ダンピング調査の開始を発表した。輸出国の国内向け価格よりも低い価格で輸出され、日本の産業に被害があると判断されれば、反ダンピング措置として価格差を相殺する関税が課される。
中国は不動産市況の悪化などで国内需要が低迷する中、余った鋼材を大量に輸出しており、各国で反ダンピング措置や緊急輸入制限(セーフガード)などで対抗する動きが広がっている。米国関税政策の影響もあり事業環境が厳しい国内鉄鋼業界も、中国からの輸入増加を受けて日本政府に対策を講じるよう求めてきた。

日本鉄鋼連盟の今井正会長(日鉄社長)は声明で、「日本鉄鋼業界として本調査に適切に対応していく」と述べた。その上で、「今般調査開始された産品にとどまらず、不公正輸入に対するモニタリングを継続強化するとともに、さらなる輸入通商対策について、必要の都度日本政府とも相談していく」とした。
日本鉄鋼連盟によると、日本の2024年の普通鋼鋼材輸入は4連連続で前年を越えた。1997年以来の500万トン超えとなったという。中国からの輸入量は同19%増の94万トンで台湾を抜いて2位になった。

今回の調査対象である溶融亜鉛めっき鋼帯と鋼板の輸入が増えている原因について日鉄の薄板事業部の松沢光哲部長は、「中国における過剰生産、それに伴う過剰な輸出が起因していると考えている」と述べた。韓国も中国から鋼材を輸入しており、「玉突き」で余った製品を輸出する動きがあるという。
(鉄連のコメントなどを追加して更新します)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.