トランプ米大統領が米労働省の次期労働統計局(BLS)局長に指名した保守派ヘリテージ財団のチーフエコノミスト、E・J・アントニ氏は、毎月の雇用統計発表を停止し、データ収集の問題が是正されるまで四半期ベースに切り替えることを提案した。

BLS局長に指名される前の8月4日に行われたFOXビジネスとのインタビューで、アントニ氏は月次の統計が信頼性を欠き、過大に報告されることが多く、結果として誤解を招くため、企業は事業計画を立てられず、連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策を遂行できないと述べた。

「是正されるまで、BLSは月次雇用統計の発表を停止し、速報性には劣るがより正確な四半期データのみを公表するべきだ」とアントニ氏。「ウォール街から連邦政府に至るまで、重要な意思決定がこれらの数値に依存しており、データに対する信頼の欠如は広範に影響する」と述べた。

雇用統計は主要連邦経済指標の一つであり、法律上、統計機関は1年前に発表予定をホワイトハウスに提出し、それに従って発表することを議会に義務付けられている。

ホワイトハウスのレビット報道官は12日の記者会見で、月次統計の発表を継続するのかと問われ「そういう計画だと理解しており、期待している。月次統計が国民の信頼に足るデータであるよう願う」と述べた。

アントニ氏のコメントについて質問されると、レビット報道官は「データと手法を是正できるまで停止するという考えを示したのだろう。大統領はBLSが正確で誠実なデータを提供し、国民に信頼されることを望んでいる」と述べた。

トランプ政権1期目にBLS局長を務めたウィリアム・ビーチ氏は不正行為や違法な妨害行為が認められた場合を除き、局長は統計の公表を止めることはできないと指摘。「報告書の内容を変更したり、公表を停止したりする権限は、局長にはほとんどない」とし、「大統領が行政権限のもとで公表を保留することはおそらく可能だが、局長がそれを行う権限は明確に存在しない」と語った。

ただ、例外的に一部データ項目を省略することは可能だとし、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期には事業活動を停止した企業が多かったことから、自身がBLS局長として工業用ダイヤモンドの卸売価格データの発表を見送った事例を挙げた。

トランプ大統領が米労働省の次期労働統計局(BLS)局長に指名したE・J・アントニ氏は毎月の雇用統計発表を停止し、データ収集の問題が是正されるまで四半期ベースに切り替えることを提案

原題:Trump’s BLS Pick Suggested Suspending Monthly Jobs Report (1)、Trump’s BLS Pick Suggested Suspending Monthly Jobs Report (2)(抜粋)

(元BLS局長のコメントなどを追加して更新します)

--取材協力:Hadriana Lowenkron.

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