ソニーグループは7日、今期(2026年3月期)の金融事業を除く営業利益計画を1兆2800億円から1兆3300億円に上方修正した。前期比では4.2%増となる。ブルームバーグが集計したアナリスト24人の予想平均1兆3930億円を下回った。

発表によるとゲーム事業や音楽事業の今期営業利益予想を引き上げたほか、米国の関税影響も前回予想から300億円減の700億円程度とした。今期の想定為替レートは1ドル=143円前後は据え置いたが、1ユーロ=157円前後(同153円前後)に見直した。

 

決算発表を受けて、ソニーG株は午後の取引で上昇に転じた。一時前日比7.6%高の3987円を付け、同4.1%高の3860円で取引を終了した。

陶琳最高財務責任者は説明会で、4-6月期にゲームなどで100億円強だった米国の関税影響は「ほぼ想定通り」で、7-9月期以降もゲームや半導体、エレクトロニクス事業での影響を見込むと説明。今後も複数のシナリオを持って対応していく考えを示した。

10月に金融事業のパーシャル・スピンオフを控えるソニーGは、ゲーム、音楽などエンタテインメント関連投資を加速させ、知的財産(IP)の価値を最大化することで、持続的な成長を図る。7月にバンダイナムコホールディングスへの出資を発表したのもその一環だ。

営業利益全体のうち3割超を稼ぐ計画のゲーム事業では、発売5年目の家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」はハードの普及が進み、ユーザーベース拡大によるプラットフォームビジネスで安定した利益成長が見込めるのもプラス要因となる。ハード生産はサプライチェーンの伏線化を進め、現在米国で販売されているものは中国以外で生産しているという。

音楽事業では大ヒットしている劇場版アニメ「『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来」の映画制作に携わっている。陶氏は鬼滅映画は前作のヒットを受け、「今回も非常に高い評価が期待される」と見込み、今期予想にも織り込み済みだという。

一方、スマートフォン向け画像センサーが大半を占める半導体事業を巡ってはリスクも浮上した。トランプ米大統領が6日、半導体を含む輸入品に対して100%の関税を課す方針を表明。ソニーGは画像センサーを主に国内で生産しており、米国に生産拠点がないため、関税政策の行方次第では影響を受ける可能性がある。

堀井直也執行役員は、短期的には米国内での生産対応は非常に難しいものの、製品そのものの競争力や品質を高めて立ち向かっていくとした。

東洋証券の安田秀樹シニアアナリストは、半導体事業では今後発表が予想されるiPhoneの折り畳みスマホにソニーの画像センサーが採用され続けるのかに注目すると話した。米アップルは6日、韓国サムスン電子と半導体を共同開発することなどを発表している。

(会見内容を追加しました。)

--取材協力:望月崇.

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