(ブルームバーグ):中国南部・広東省で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期を思わせるような厳しい防疫措置が講じられている。蚊を媒介とするウイルス性疾患、チクングニア熱の感染拡大を防ぐためだ。コロナ感染者をゼロに抑えようとするゼロコロナ政策は2年前に終了している。
ここ1カ月足らずで6500人超のチクングニア熱感染者が確認された仏山市は、発熱や発疹、関節痛といった症状を和らげる47種類の医薬品について、購入者の身元情報を報告するよう薬局に求めている。同市の市場監督管理局の通達で分かった。
コロナ禍の際にも同様の措置が導入され、薬局での医薬品購入が個人の健康コードに表示され、行動制限や強制検査につながっていた。
このほか大規模検査の再開や旅行履歴の報告義務化、地域レベルでの消毒実施などの対策も取られている。
今のところ、厳格なロックダウン(都市封鎖)を当局が検討している兆しはない。それでも微博(ウェイボ)や小紅書(シャオホンシュー)など中国のSNS上では、今回の防疫措置について、不安や皮肉をにじませた投稿が相次いでいる。
医薬品購入に関するルールをゼロコロナ時代の再来になぞらえる声も多い。当時の強制検査や隔離施設への収容といった厳格な対応は、今なお人々の記憶に新しい。
一部の専門家は今回の感染拡大に際し、感染者の追跡やソーシャルディスタンスといった当時の対策が適切かどうか疑問を呈している。
非営利研究機関RTIインターナショナルのシニア疫学者ドナル・ビサンツィオ氏は「コロナ禍で推奨されたような対策ではなく、媒介となる蚊の発生を防ぎ、人と蚊の接触機会を減らすことに重点を置くべきだ」と述べた。
チクングニアウイルスは人から人に直接感染することはないが、感染者の血を吸った蚊が別の人を刺すことで、感染が広がる可能性がある。
原題:China Revives Covid-Era Measures to Battle Mosquito-Borne Virus(抜粋)
--取材協力:Qianwei Zhang、Winnie Zhu、Shirley Zhao.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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