(ブルームバーグ):石破茂首相は5日、コメ価格高騰の背景には生産量の不足があったとして増産を促す政策に「かじを切る」と表明した。
安定供給に関する関係閣僚会議で明らかにした。石破首相はコメ価格の高騰について「生産量に不足があった事を真摯(しんし)に受け止める」と指摘した。今後の政策は「農業者が増産に前向きに取り組める支援に転換する」と語った。輸出の抜本的な拡大に全力を傾けるほか、耕作放棄地が増えるのを食い止める。
コメの生産調整を促す「減反政策」は2018年に廃止されたが、政府は現在も生産の目安を守る農家が交付金を受け取れる仕組みを通じて供給管理に関与していた。石破首相はこうした政策に批判的だった。価格高騰をきっかけにコメ政策の転換に踏み切った。
全国消費者物価指数によると、コメ価格は6月に前年同月比100.2%上昇した。5月までは8カ月連続で過去最高を更新していた。
閣僚会議では小泉進次郎農相がコメ価格高騰の要因分析を報告した。農水省の資料によると、需要面では、外国人観光客の増加などによる影響の把握ができていなかった。供給面では、高温環境にさらされることで同量の玄米から精米できる量が減少していたことを考慮していなかった。
実際の生産量は需要量に対して23-24年は40-50万トン程度、24-25年は20-30万トン程度不足していた。
日本銀行は7月31日に公表した新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、コメを中心とした食料品価格上昇が主因に消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の見通しを2025年度を中心に27年度までの全期間で引き上げた。
(政府による価格高騰の要因分析の内容を追加し、更新しました)
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