米マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏が創設した慈善団体、ゲイツ財団は4日、今後5年間に女性の健康に関連するプロジェクトに25億ドル(約3700億円)を投じると発表した。米政府が科学研究や国際開発への支援を後退させる中での動きとなった。

同財団の会長を務めるゲイツ氏はブルームバーグとのインタビューで、国立衛生研究所(NIH)と長年取り組んできたエイズウイルス(HIV)感染症の遺伝子治療について、トランプ米大統領と最近協議したことも明らかにした。

トランプ氏はこのプロジェクトに関心を示したが、ゲイツ氏はトランプ氏に対し、「米政府の支援がどれだけ得られるかは、まだ分からない」と述べたという。ホワイトハウスはコメント要請にすぐには応じなかった。

今回の支援は女性の健康に重点が置かれ、特に低・中所得国の女性が影響を受ける重要分野が対象となる。

ゲイツ氏は発表資料で、「女性の健康は依然ないがしろにされ、資金も不足している。あまりにも多くの女性が今も予防可能な原因で命を落としたり、健康を損なったりしている。そうした状況を変える必要がある」と指摘した。

ゲイツ財団は今後20年で計2000億ドルを拠出し、2045年に活動を終了すると5月に発表した。当初は、ゲイツ氏の死後20年で財団を閉鎖するとしていた。

トランプ政権は今年1月、世界保健機関(WHO)からの脱退を表明。3月には対外支援を担ってきた米国際開発局(USAID)の事実上の閉鎖に踏み切った。さらに、NIHなど連邦保健機関の人員を削減し、研究者への資金提供も厳格化している。

「短期的にある程度の混乱と不確実性が生じているのは間違いない」とゲイツ氏はインタビューで語った。

原題:Gates Foundation Commits $2.5 Billion for Women’s Health (1)(抜粋)

--取材協力:Hadriana Lowenkron.

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