3.事業所調査の詳細:医療・社会扶助が雇用増加を牽引

事業所調査のうち、民間サービス部門は前月比+9.6万人(前月:+1.6万人)と前月から伸びが加速した。

民間サービス部門の中では、医療・社会扶助サービスが前月比+7.3万人(前月:+5.9万人)と前月から伸びが加速し、民間サービス雇用増加数の大宗を占めるなど増加を牽引した。その他の業種では小売業が+1.6万人(前月:▲1.4万人)と前月からプラスに転じたほか、運輸・倉庫が+0.4万人(前月:+0.1万人)と小幅ながら前月から伸びが加速した。また、娯楽・宿泊も+0.5万人(前月:+0.4万人)と概ね前月並みの伸びを維持した。一方、情報が▲0.2万人(前期横這い)、人材派遣業が▲0.4万人(前月:▲0.3万人)と減少したこともあり、専門・ビジネスサービスが▲1.4万人(前月:▲1.1万人)と前月から減少幅が拡大した。

財生産部門は前月比▲1.3万人(前月:▲1.3万人)と前月並みのマイナスとなった。建設業が+0.2万人(前月:+0.3万人)と前月から小幅に伸びが鈍化した一方、製造業が▲1.1万人(前月:▲1.5万人)と前月に続いてマイナスとなったもののマイナス幅が縮小した。

政府部門は前月比▲1.0万人(前月:+1.1万人)と前月からマイナスに転じた。内訳をみると、連邦政府が▲1.2万人(前月:▲0.9万人)と前月からマイナス幅が拡大したほか、州・地方政府が+0.2万人(前月:+2.0万人)と前月から伸びが大幅に鈍化した。一方、連邦政府職員はトランプ政権による削減の動きが続いており、1月以降の減少数は▲8.4万人となった。BLSは有給休暇や退職金を継続的に受け取っている職員は雇用者数として認識されるとしており、今後も連邦政府職員の減少傾向は持続する可能性が高い。

前月(6月)と前々月(5月)の雇用増加数(改定値)は前月が+1.4万人(改定前:+14.7万人)と▲13.3万人の大幅な修正となったほか、前々月も+1.9万人(改定前:+14.4万人)と▲12.5万人の大幅下方修正となった。この結果、2ヵ月合計の修正幅は▲25.8万人の大幅な下修正となった。過去2ヵ月分の下方修正幅の大きさは20年5月(▲64.2万人)以来となった。

BLSの公表に先立って7月30日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増加数が前月比+10.4万人(前月改定値:▲2.3万人、市場予想:+7.6万人)と▲3.3万人から上方修正された前月からプラスに転じたほか、市場予想も上回った。この結果、ADP社の統計は前月の低調な水準から伸びが加速した雇用統計と整合的な動きとなった。

7月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が36.44ドル(前月:36.32ドル)となり、前月から+12セント増加した。一方、週当たり労働時間は34.3時間(前月:34.2時間)とこちらは前月から+0.1時間増加した。この結果、週当たり賃金は1,249.89ドル(前月:1,242.14ドル)となり、前月から増加した。