ChatGPT以降、膨れ上がる電力の消費量 “全世帯の約半分に匹敵”

データセンターが私たちに提供する利便性の裏側には、常に電力が供給され続けるという絶対的な条件があります。

もしデータセンターが数日間停止すれば、医療、交通、政府機関といった社会の基盤を支えるデータが利用できなくなり、甚大な混乱を招くことは想像に難くありません。

まさに現代社会の「生命線」とも言える存在なのです。

しかし、この「生命線」を維持するための電力需要が、いま、かつてない規模で膨張しています。

バージニア州プリンス・ウィリアム郡議会のジェファーソン議長は、データセンターが歳入を増やすという利点がある一方で、その拡大には「程々が肝心だ」と訴えます。

データセンターは工業用の倉庫であり、住宅地や学校、国立公園の隣にあるべきではないという主張です。

また、データセンターに与えられる土地は、他のビジネスや住宅、小売業などの開発に使えなくなるため、土地利用のバランスを欠くことへの懸念も示されています。

特に、AIの急速な発展が、データセンターの電力需要を劇的に押し上げています。
ChatGPTの登場は、データセンター業界に「ChatGPT以前」と「ChatGPT以降」という明確な境界線をもたらしました。

それまではテクノロジーの普及が需要を牽引していましたが、AIという新たな技術は、従来のCPUインフラでは動作せず、GPUインフラを必要とします。

GPUラックの消費電力は、一般的なCPUラックの5〜10倍にも及ぶため、AIの普及はデータセンターへの信じられないほどの需要を生み出しているのです。

現在、バージニア州のデータセンター全体の電力消費量は約5ギガワットで、これは州内全世帯の約半分に電力を供給できる量に匹敵します。

電力会社ドミニオン・エナジーの予測では、現在開発中や計画段階のデータセンターを含めると、さらに40ギガワットもの電力が必要になるといいます。