(ブルームバーグ):ノルウェー当局は、今年のノーベル平和賞の受賞者に関する情報が事前に漏えいした可能性があるとして、オンライン上での賭け動向の調査を開始した。
2025年のノーベル平和賞をベネズエラの野党指導者マリア・コリーナ・マチャド氏が受賞するとの賭けは、ノルウェー時間10日午前0時直後にオンライン賭け市場ポリマーケットで急増していたことが、同サイト上の情報から明らかになっている。
地元メディアによると、受賞者を選ぶ非公開のノルウェー・ノーベル委員会(委員5人)は6日の時点で既に決定を下していた。
ノルウェー・ノーベル研究所のハルピケン所長は電話取材に対し、「この件を非常に深刻に受け止めている」と述べ、「われわれの情報を巡って金銭的利益を得ようとする犯罪者の標的にされたようだ」と語った。
ポリマーケットのウェブサイトが示すデータによると、「dirtycup」というユーザー名で取引した人物が、発表の数時間前にマチャド氏の受賞に約7万ドル(約1000万円)を賭け、約3万ドルの利益を得た。この人物は今月になって初めて同サイトに口座を開設し、他の市場で賭けを行った形跡はなかったという。
ニューヨーク証券取引所を傘下に持つインターコンチネンタル取引所(ICE)は7日、ポリマーケットに最大20億ドルを出資する計画を発表。合意では同社の企業価値を80億ドルと評価した。
同プラットフォームは、スポーツの試合結果や経済政策、テイラー・スウィフトの最新アルバムで最も再生された楽曲など、現実世界の出来事の結果に賭けることができる。一方で、過去にはローマ教皇フランシスコ(当時)の死去時期など、倫理的にグレーとされるテーマを扱ったことで批判を受けたこともある。
ポリマーケットの広報担当者は、コメントを控えた。
ノーベル研究所のハルピケン所長は、今回の平和賞に関して「これまでに同様の事例は記憶にない」と述べつつ、約15年前に「いくつかの情報漏えい」があったことには触れた。
「何が起きたのか、詳細に調査するつもりだ。われわれにとって秘密保持は極めて重要だ」と同氏は語った。
原題:Unusual Polymarket Bets on Peace Prize Winner Spur Probe (1)(抜粋)
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