(ブルームバーグ):米メタ・プラットフォームズは、収益性の高い広告事業を支えに2026年の支出を拡大する方針を示した。経営陣は今が人工知能(AI)投資の好機だと説明した。投資家はこの方針を好感し、株価は通常取引終了後の時間外で一時、10%超上昇した。
メタが発表した4-6月(第2四半期)売上高と7-9月(第3四半期)売上高見通しは共に市場予想を上回った。30日の同社発表によると、7-9月の売上高は475億-505億ドル(約7兆1000億-7兆5500億円)となる見通し。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想は462億ドルだった。4-6月の売上高は475億ドル。
メタを含むテック大手はAI分野の人材獲得やデータセンター建設に充てる資金を主力事業の収益で賄っている。こうした中、メタは今年の設備投資見通しの下限を引き上げ、660億-720億ドルとした。同見通しは4月に640億-720億ドルに上方修正されていた。同社はまた、26年の支出について、拡大を見込んでいるとした。
スーザン・リー最高財務責任者(CFO)は電話会見で、「今は将来のAIに向けて投資すべき時だとわれわれは確信している」と発言。AIは新たな事業機会を開くだけでなく、中核事業の強化にも寄与すると述べた。
マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は4-6月期の力強い業績は、AIによって広告システム全体の効率が高まったことによるものだと説明した。
ハーグリーブス・ランズダウンの株式アナリスト、マット・ブリッツマン氏は電子メールで、メタが4-6月期に好業績を上げた要因の一つはAIの改良により広告単価を引き上げられたことだと分析。「こうした投資は短期的には利益へのリスクを高めるが、長期的にはメタをAI分野の勝者にする可能性が高い」と述べた。
メタ株は年初から30日の通常取引終了まで18.7%上げていた。
ザッカーバーグ氏はデータセンターの新設に加え、AIのトップ研究者の獲得に高額報酬を提示するなど積極的に投資を進めている。メタは最近AI部門を再編し、「メタ・スーパーインテリジェンス・ラボ」(MSL)に統合した。人間以上の能力でタスクをこなすスーパーインテリジェンス(超知能)を開発し、自社製品に応用することを目指している。
MSLを率いているのは、データラベリングを手がけるスタートアップ、スケールAIのCEOだったアレクサンドル・ワン氏だ。ザッカーバーグ氏が143億ドルでスケールAIの株式49%を取得した後、ワン氏は6月にメタに加わった。

メタのライバル企業も、AIの活用が企業や消費者の間で定着し始めている今こそが成長の好機とみて、AI投資を拡大している。
グーグルの親会社アルファベットは先週、大規模設備投資が不可欠だとして2025年通期の設備投資見通しを850億ドルに引き上げた。
調査会社フォレスターのアナリスト、マイク・プルー氏は電子メールで送付した文書で、「今回のAI競争は、かつてのPCやウェブブラウザ、検索エンジン、スマートフォンを巡る競争に似ている」とした上で、「ただ今回の競争が決定的に違うのは、AI自体がこの競争を加速させる力を持っているため、以前よりはるかに速いペースで進んでいることだ」と指摘した。
原題:Meta Seizes Its Moment to Spend More Aggressively in the AI Race、Meta Shares Jump After Strong Third-Quarter Sales Forecast (2)
(CFOのコメントなどを追加して更新します)
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