米連邦準備制度理事会(FRB)は「責務からの逸脱」することで自らの独立性を脅かしていると、ベッセント米財務長官が批判。金融政策を含め、FRBに対する独立した調査を行うよう求めた。

ベッセント長官は5日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に掲載されたコラムで「独立性の核を成すのは、信頼性と政治的な正当性だ」と主張。「いずれもFRBが自らの責務を超えて行動することによって、危機にさらされている」と述べた。

ベッセント氏は常々主張してきたFRBによる「金融政策の機能強化型実験」への批判をコラムで展開。中でも2007ー09年の金融危機対応としてFRBが実施した量的緩和(QE)は、過剰な刺激を経済に与えたと指摘。さらには銀行システムに対し行き過ぎた規制を敷いたとも述べた。

「量的緩和のような非常手段は真の緊急時に限り、連邦政府全体との連携のもとで行われるべきだ」とベッセント氏は述べた。

同氏はこれまでも、パウエルFRB議長に対し金融政策以外の面において内部調査を実施するよう繰り返し求めてきた。しかし今回のコラムはその要求をさらに広げて「金融政策や規制、意思伝達、人員、研究を含む組織全体に対する誠実で独立した、党派を越えた調査が必要だ」としている。

規制の在り方については、連邦預金保険公社(FDIC)と通貨監督庁(OCC)の権限を強めて「銀行監督を主導させ、FRBはマクロ監視と最後の貸し手としての流動性、金融政策に専念する」よう、「より一貫性のある枠組み」を訴えた。

新型コロナ禍当時のFRBによる対応は、具体的に批判しなかった。パウエルFRB議長は信用市場の崩壊を防ぐために、第1次トランプ政権当時のムニューシン財務長官と連携して施策に取り組んだ。

ベッセント氏はただ、2008年より後に実施された一連の量的緩和について「資産保有者に事実上の保証措置」を与えたも同然であろ、格差拡大の一因となったと指摘。大企業は低金利で安価に借り入れでき、住宅保有者は資産価値の上昇という恩恵を享受したと述べた。

「その一方で若年層や保有資産が少ない世帯は、資産形成から締め出され、インフレの打撃が集中し、資産価値上昇の恩恵にもあずかれなかった」とベッセント氏は述べた。

原題:Bessent Urges Independent Fed Review, Criticizes Excess Stimulus(抜粋)

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