(ブルームバーグ):1兆ドル(約147兆円)に上る報酬パッケージは簡単には構築できない。テスラの委員会はイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と10回にわたり協議を重ね、年次総会を延期し、6人の外部アドバイザーを招いた末にようやくまとめ上げた。
交渉は、マスク氏をテスラに少なくとも7年半つなぎ留めるための異例の協議の一部だった。マスク氏が報酬全額を得るには、テスラが設定した数々の野心的な目標の達成が条件になる。委員会はマスク氏に政治への関与をやめさせ、テスラに対するコミットメントを確保したい意向だったが、交渉の中でマスク氏は、一定の約束を得られないなら退社するとどう喝した。
テスラの特別報酬委員会を構成したロビン・デンホルム会長とキャスリーン・ウィルソントンプソン取締役は、マスク氏と2回会談し、同氏のテスラに対するビジョンと「同氏の意欲を最も駆り立てる報酬体系」を理解したと、同社が5日提出した委任状文書で説明した。舞台裏の交渉の詳細を、企業がこれほど明らかにするのはまれだ。
この結果、報酬パッケージは4つの中核的な製品ラインに連動した目標を軸に策定された。具体的には、テスラの自動車車両の拡大、完全自動運転技術、ロボタクシー、ロボットの4つだ。
残りの会合は報酬パッケージの条件交渉と、「交渉継続に必要な条件の理解」に費やされた。マスクは議決権の少なくとも25%の取得と、過去の業務に対する完全な報酬の支払いが必要だと強調した。
提出文書によれば、「マスク氏はこうした保証が得られないなら、他の関心を追求するためテスラを退社する可能性を提起」した。「委員会は交渉を通じてこの主張をさらに議論・検証し、マスク氏の意向が本気であると判断した」という。
原題:Musk Got to $1 Trillion With ‘Genuine’ Threats to Quit (Correct)
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