4大生保の一角である第一生命保険は、財政政策や日米関税交渉を巡る不透明感が弱まったとして超長期債の買い入れを拡大する可能性がある。

市村直人運用企画部長が29日のインタビューで明らかにした。年度当初は保有する低利回り債を売却して高利回り債を購入する7000億円規模の入れ替え計画だったが、株価が前年度末から上昇していることもあり、「株式売却益など原資をうまく使いながら入れ替え増加の検討は可能」とした。保有する超長期債で相場下落に伴い含み損が拡大している銘柄が売却候補になる。

第一生命保険本社

参院選で与党は大敗したが、野党も石破政権に対する攻めに精彩を欠き、財政出動を伴う消費減税の機運は高まっていない。日米関税交渉も合意に至り、超長期金利の先高観は収まり始めている。債券投資に様子見を続けた生命保険が動き出す可能性が出てきた。

市村氏は超長期債について「この4カ月は幾分売りが先行したが、不透明感も少し払拭されて今後は買いの方も状況を見ながら進めていきたい」と述べた。円債残高は横ばいにとどめるという4月時点の今年度計画は据え置く。

需要

主な投資先である30年債について市村氏は、利回りが生保各社の予定利率を大きく上回っており、「大手を含め買い需要は一定程度ある」と指摘した。4月以降はボラティリティー(変動率)が高く、金利先高観もあって買い控えていた生保が多いが、参院選後に市場は落ち着いており、「3%を超えると一定程度買いが入ってくる」との見方を示した。

30年債利回りは内外の財政懸念から7月に入り上昇が加速、3%台に乗って推移している。これを受けて第一生命は30年債利回りの年度末想定を4月時点の2.8%から3.3%に引き上げた。

外債については国債は主な投資対象としていない。通貨スワップを使って社債を中心に国内社債との比較感から利回りの妙味を踏まえた上で投資をする。為替ヘッジを付けないオープン外債は投資計画に沿って残高を削減しているという。

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