未来のiPhoneと次なる一手

AIでの苦戦とは対照的に、ハードウェア開発、特にiPhoneの未来図は野心的だとガーマン氏は語ります。

「iPhone 17シリーズは、近年で最も重要なアップデートの一つになるでしょう」。その目玉は、薄さを追求した新モデル「iPhone 17 Air」です。

「『iPhone 12 mini』で小型化に挑み、失敗。『iPhone 14 Plus』で大型化に挑み、これも失敗。小さくしても大きくしてもダメだった彼らが次に見出したのが『薄さ』です」

「iPhone 17 Air」は、かつてのMacBook Airのように、スペックやバッテリー性能をある程度妥協する代わりに、人々が魅力を感じるとアップルが考える「驚異的な薄さ」と「洗練されたデザイン」を追求したモデルになるといいます。

これは過去の「mini」や「Plus」の失敗を踏まえ、「薄さ」という新たな価値で市場に挑む試みであり、同時に2026年に登場が噂される初の折りたたみ式iPhoneへの布石でもあると分析します。

さらに2027年には、iPhone登場20周年を記念した革新的なモデル「Glass Wing」が計画されているといいます。

これは縁が曲面ガラスで覆われ、ほぼ全面がスクリーンになるという、デザインの大きな飛躍を予感させるものです。

一方で、Vision Proが失敗に終わった後の「次なる一手」として、ガーマン氏はスマートグラスとスマートホームデバイスを挙げます。

特にスマートグラスは、ディスプレイを持たず、AIアシスタントを核としたデバイスになると予測しており、ここでもAI技術の成否が製品の命運を握ることになります。

アップルに迫る「Android」の影

アップルは現状では、デバイスやアプリなど強固なエコシステムに支えられ、顧客を維持しています。

しかし、ガーマン氏は「AIが、その牙城を崩す『激変』のきっかけになりうる」と警告します。

「Android陣営のAI機能は、iOSとは全くの別次元にあります。この差が広がり続ければ、いずれ顧客離れが起きるでしょう。もはや機能性においてアップルを『クール』だと言う人はいません。そんな時代は終わったのです」

ガーマン氏の言葉は、アップルが再びテクノロジーの最前線に立つためには、単なる製品のアップデートだけでなく、企業文化そのものの変革、そして大胆な発想を持つ新しいリーダーシップがいかに重要であるかを物語っています。

※この記事はTBS CROSS DIG with Bloombergで配信した「WORLD DECODER」の内容を抜粋したものです。