Q. 日本経済への影響は?
A. 現時点において米国は日本からの輸入に関して、鉄鋼・アルミニウムの輸入に50%、自動車・同部品に25%、(これらや半導体などを除く)全ての製品に10%の関税を課している。
米国における輸入品の価格弾性値を1と仮定すると、こうした一連の関税策は実質GDPを-0.6%pt押し下げると試算できる。
また、(合意前の条件である)一律関税が10%から25%に引き上げられる場合、同影響は-1.0%ptに達する見込みだった。
一方、今回の合意(一律関税15%と自動車関税15%)を踏まえた影響は-0.6%ptと、現時点でのマイナス幅から大きな変化はない。
また、自動車関税の具体的な引き下げ時期は不明であるものの、一時的に日本やEUが15%、メキシコや韓国が25%の関税率となる場合、日本の競争条件が改善しGDPへの下押し効果を一部緩和するだろう。
なお、米国におけるメキシコとカナダからの乗用車輸入を巡っては、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に適合した乗用車(部品の一定割合を域内から調達)の追加関税が免除されているものの、メキシコの一部輸出はこうした基準を満たしておらず、5月時点における乗用車の実効関税率は16.1%に達している(カナダ:同、0.1%)。
