7月24日、日米両政府は関税交渉で合意した。本稿では合意の内容、及び日米経済への影響に関して、Q&A形式で概観する。

Q. 米国側が受け入れた内容は?

A. 米国は8月1日から対日輸入に課す予定であった25%の関税率を15%(現状は10%)へと引き下げるほか、既存の自動車・同部品への関税率を27.5%(=既存2.5%+追加25%)から15%へと引き下げる。

一方、鉄鋼・アルミニウムに対する50%の追加関税は維持する。また、現在発動を検討している半導体及び医薬品への関税を巡っても、日本が最も関税率の低いグループへ入ることを確約した模様だ。

なお、27日には米国とEUが貿易合意に達し、EU側は医薬品や半導体の関税が15%に設定されると主張しており、これに基づくと日本にも同等の関税率が適用されることとなる(ただし、トランプ大統領は「医薬品は今回合意の対象外」と言及するなど、米EU双方の見解に相違)。

相互関税を巡っては、英国などの対米貿易赤字国でも最低10%が課されており、15%はこれまでに貿易合意に達している東南アジア3カ国よりも低い。

また、トランプ政権が従来は交渉の範囲外としていた自動車関税に関して、部品を含めて関税率を引き下げるのは今回の最も大きな譲歩とみられる。

実際、米ビックスリーを代表する米国自動車政策評議会(AAPC)のブラント会長は「米国の自動車業界と労働者にとって悪いディール」と述べたほか、全米自動車労働組合(UAW)も「(今回の合意に)深い怒りを抱く」「米国の労働者は再び取り残される」との反対姿勢を示している。