米国の東海岸と西海岸、中西部北部地域を大規模な嵐が襲い、連休後の帰路にある多くの旅行客が影響を受けている。

航空便追跡サイト、フライトアウェアによると、26日午後時点で全米で1600便余りが欠航となった。26日の欠航が最も多かった航空会社は、200便以上をキャンセルしたジェットブルー・エアウェイズで、これにデルタ航空が続いた。

ニューヨーク市の3つの主要空港では最大9インチ(約23センチ)の降雪が予報され、大きな混乱が生じた。デトロイト、フィラデルフィア、ボストンの各空港でも欠航や遅延が発生した。カリフォルニア州では豪雨や土砂崩れ、洪水による道路封鎖が相次ぎ、五大湖地方は着氷の蓄積に直面している。

ニューヨーク・ラガーディア空港で待機する旅行者(12月26日)

今回の混乱は1年で最も混雑する旅行時期の一つを直撃している。全米自動車協会(AAA)の予測では、12月20日から1月1日までの期間に自宅から50マイル以上移動する米国人の数は、昨年から約2%増加し、過去最高を記録する見通しだという。

洪水や暴風雪、凍結が特に危険な状況を招いているのは、今年は空路よりも陸路を選ぶ旅行者が多いと予想されているためだ。AAAの見通しによると、今年の休暇に車を利用すると予測されている人は約1億950万人に上る。一方、空路を利用する人は約800万人と予測された。

ジェットブルーは電子メールで、26日から27日にかけて主に北東部で約350便をキャンセルしたと説明した上で、「影響を受けた顧客のスケジュール変更を支援している」とコメントした。

今回の異常気象は、太平洋の水温低下を特徴とする「ラニーニャ現象」が再来する中で発生した。

コモディティー・ウェザー・グループのマット・ロジャース社長は、「ラニーニャの冬は変動が激しいことで知られており、今回のホリデーシーズンはまさにその影響を受けている。気象モデルは、予測におけるすべての流動的な要素や変動に対応するのに苦戦している」と述べた。

厚着の冬服で身を包んだ歩行者(ニューヨーク、12月26日)

ニューヨーク市は、気温低下で雪解けが進まず、路面が滑りやすく危険な状態となるリスクが高まるとし、26日夜から27日にかけて注意報を発令した。ペンシルベニア州の住民は、厳しい冬の天候による停電に備えるよう警告を受けた。また、カリフォルニア州では、洪水や嵐の被害、土砂災害によりロサンゼルス周辺だけで数十件の道路封鎖が発動されており、州全域でさらなる封鎖や混乱が報告されている。

冬の天候は電力需要の急増を招き、電力供給を圧迫することがある。今のところ送電網に逼迫(ひっぱく)の兆候は見られないが、電力価格は上昇し始めている。ニューヨーク市のスポット価格は現地時間午後2時10分時点で1メガワット時あたり約127ドルに達し、前日の32ドルから上昇した。

気温の低下は、家庭用暖房の燃料として使用される米天然ガス価格の押し上げにもつながり、26日に先物価格は約3%上昇した。

国立気象局(NWS)によると、ニューヨーク市とその周辺地域では6-9インチ(15-23センチ)の降雪が見込まれており、現地時間の26日午後4時から27日午後1時まで大雪警報が発令されている。

数日間にわたって豪雨に見舞われたカリフォルニア州では、26日も雨による鉄砲水や土砂崩れの恐れがある。

PowerOutage.usによると、26日午後時点でカリフォルニア州内では5万以上の住宅や事業所が停電しており、大半は州北部に集中している。

原題:Flights Canceled, Roads Closed as Storms Snarl US Travel (1)(抜粋)

--取材協力:Brian K. Sullivan、Cailley LaPara、Kyle Kim.

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