一方、出資金以外の部分はどうかと言えば、そこは融資になる。
政府の説明では「資金は日本が全額負担」とされる。
この意味は、対米投資ファンドの資金調達は、融資部分(デット)を日本からまかなうということだろう。
おそらく、融資の72兆円の部分は、国際協力銀行の直接融資と、融資保証付きの民間銀行の融資に分かれるのだろう。
民間銀行は、国際協力銀行からの融資保証を得て、貸倒れリスクを回避できる仕組みなのだろう。
では、日本に還元される利益はどのくらいなのか。
数値計算をしてみると、仮に、半導体、医薬品などへの対米投資から上がってくる投資資産収益率が10%だったとすると、投資ファンドの総利益は8兆円(=80兆円×10%)になる。
それを72兆円の融資分と8兆円の出資分で山分けすることになる。
これは仮設値だが、融資の貸出金利が4%だとすると、利子収入は2.88兆円になる。
それ以外の出資金には5.12兆円が割り当てられる。
その1割=5,120億円は日本が配当として受け取る。
まとめると、9割=4兆6,080億円は米国が受け取る。
日本は、融資分の2.88兆円+5,120億円=3.392兆円を受け取る。配分割合でみて、42%=3.392兆円÷8兆円なのだから、それほど悪い話ではないと感じる。
トランプ大統領の「利益の90%を米国、10%を日本」という発言は、完全に国内支持者向けに行っているアピールである。
いつもながらの「名を取って、実利を渡す」というトランプ流だ。
思い出されるのは、USスチールの買収だ。これも、黄金株という拒否権を米国側が得て、企業経営の実利は日本企業に明け渡した。
これと同じことになったと感じられる。