(ブルームバーグ):28日の東京外国為替市場では円が一時1ドル=148円台に下落。米国と各国との通商交渉進展を受けたリスク選好の回復が円売り圧力となっている。週内に米連邦公開市場委員会(FOMC)と日本銀行の金融政策発表を控えて様子見姿勢も強い。
三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、米国と欧州連合(EU)の合意でやや安心感が出た半面、内容がまだよく分からないためリスクオンはそこまで強い感じもないと話す。今週は「中銀イベント後にポジションをどちらかに傾けていくとみられ、それまでは様子見ではないか」と言う。
トランプ大統領とEUのフォンデアライエン欧州委員長は27日、貿易協定で合意した。また、香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は匿名の関係者の話として、米中両国が相互に課している関税の適用一時停止期間を3カ月延長する見通しだと報道。米中関係に対する市場の警戒感も和らぎつつある中で、リスク選好の回復が円売り材料となっている。
一方で、日米間の関税合意を受けて日銀による年内の追加利上げ観測も根強い。翌日物金利スワップ(OIS)市場では年内の利上げが8割程度の確率で織り込まれており、日米金利差の縮小を意識した円買いにより、対ドルでの円の下落は小幅にとどまっている。
28日は自民党が両院議員懇談会を開催し、先の参議院選挙での大敗について総括を行う予定。石破茂首相は続投の意思を示しているが、党内の求心力低下が顕在化するリスクがある。野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは28日付リポートで「石破首相の早期退陣の可能性が高まれば、投機勢による円売りの動きが強まる可能性がある」との見方を示した。

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