米国を訪れる観光客の楽しみ方はさまざまだ。エンパイアステートビルの展望台からニューヨークを一望するのもいいし、カリフォルニアやフロリダに行けばミッキーマウスと握手できる。でも、なんと言ってもショッピングが最高だ。

そうした中で、トランプ米大統領が世界に仕掛けた貿易戦争や米国への入国を巡る規制、さらに経済不安が、観光収入を脅かしている。ブルームバーグ・インテリジェンスは、訪米観光客の小売り支出が今年、約200億ドル(約2兆9500億円)失われる恐れがあると推計している。

マイアミのショッピングモール

米国への渡航を完全に避けている旅行者がいるほか、訪れても予算を考え直している人は多い。最近、対ドルで上昇している主要通貨もあるが、米国外からの観光客は、長年にわたる米国のインフレによってホテルやレストランの料金が高騰し、買い物に回せる資金が少ないという現実に直面している。

米国際貿易局(ITA)のデータによると、一般的に毎年増える旅行関連支出だが、今年1-5月は事実上、前年同期比横ばい。一方で6月に空路で米国に到着した外国人は、前年同月比6.6%減少した。

ラデンバーグ・タルマンのマネジングディレクター、フロリス・バンディジクム氏は「観光客は空のスーツケースを持ってきて、買い物をしてスーツケースを一杯にし、自宅に送り返すというのが定番だった」が、今はその習慣に変化が見られると指摘。「最終的な影響はまだ分からないが、明らかに圧力がかかるだろう」と述べた。

政府のデータによれば、ホテル料金は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前と比べてほぼ10%上昇し、外食費は3割ほど増えている。

 

訪米観光客のショッピング控えめ

原題:Tourists Tame Their Shopaholic Ways, If They Even Come to the US(抜粋)

--取材協力:Georgina Boos、Beatriz Amat.

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