(ブルームバーグ):石破茂首相は25日、国会内で与野党党首会談を開き、米国の関税措置についてトランプ政権との合意内容を説明した。自民党内で退陣論が出ている自身の進退については明言しなかった。
国民民主党の玉木雄一郎代表が関税措置への対応で「いつまでやるのか」と質問したが、首相は進退に関わることについては言っていないと応じた。玉木氏は「続投への強い意欲を感じた」との見方を示した。一方で、日本維新の会の前原誠司共同代表は国内対策などで補正予算を編成する必要性を指摘したが、首相から回答はなかったという。両氏は終了後、党首会談の概要を記者説明した。
石破首相自身は、これから先のことについて「説明していない」と記者団に語った。首相は先立って行った政府の総合対策本部で、首相は米関税措置への対応は「今後が極めて重要」と指摘していた。
首相は参院選大敗後も日米交渉や地方創生などの政策課題を挙げ、「政治には一刻の停滞も許されない」などと続投への意欲を示してきた。自民党内では首相の退陣を求める動きがあるが、閣僚らから擁護する意見も出ている。
立憲民主党の野田佳彦代表は日米間で合意内容に解釈の違いが生じれば「地雷原になる」と指摘し、首脳間で合意文書を作らなければ「危うい」との認識を示した。前原氏も5500億ドルの対米投資の期間が決まっていない点などを挙げ、「かなりあやふやな合意で共同文書もない」と問題視した。両氏は会談終了後、記者団に語った。
党首会談にはこのほか、公明党、共産党、れいわ新選組の幹部に初参加となる参政党の神谷宗幣代表が出席した。
政府は米国による関税措置の国内対策として4月に緊急対応パッケージをとりまとめ、企業への相談体制の整備や資金繰り支援の強化などを実施。「躊躇(ちゅうちょ)なく追加的に必要な対応を行う」との方針を示している。
米国は日本からの輸入品に一律で課す関税率を15%に、自動車・自動車部品への追加関税も15%とすることで合意した。従来の米国の方針では日本への一律関税は8月1日から25%に引き上げられる予定だった。自動車・自動車部品には既に25%の追加関税が賦課されていた。税率引き下げで負担は低減したものの、経済界からは中小企業への影響に懸念を示す声も出ている。
(国民民主党の玉木代表の発言を追加し、更新しました)
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