トランプ米大統領は22日、米国とフィリピンが貿易協定で合意に達したとし、同国からの輸入品にかける関税率を19%とすると発表した。これは先に通告していた20%を1ポイント下回る水準。

トランプ氏はこの日、ホワイトハウスでフィリピンのマルコス大統領と会談。8月1日に予定される上乗せ関税の発動を前に合意に至った最新の通商取引となる。ただ、関税率のわずかな引き下げは、各国・地域首脳が関税措置の緩和を目指す中、米側の譲歩を引き出すことの難しさを浮き彫りにするものだ。

トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で「フィリピンは米国との間で市場を開放し、関税をゼロにする。フィリピンは19%の関税を支払う。また、われわれは軍事面でも協力していく」とした。ただ、貿易合意の詳細については明らかにしなかった。

トランプ氏はここ数週間、複数の国・地域に関税率を記した書簡を送付。銅に8月1日から50%の賦課するとし、半導体や医薬品など他の個別品目への関税も計画している。欧州連合(EU)やインドなどとの協議は継続中だが、約150の小規模の貿易相手には一律で10-15%の関税を課す方針を示している。

マルコス氏は、一部の外国首脳と同じく、米国との長年の同盟関係を強調することでより良い貿易条件を引き出そうとした。しかし、大幅な関税引き下げに至らなかったことは、トランプ氏の関税政策が同盟国に対しても突きつける困難を如実に示した。

首脳会談に先立ち、フィリピンの通商当局者が米国を訪れ、協議を行っていた。

米政府統計によれば、昨年の米国の対フィリピン貿易赤字は49億ドル(約7180億円)で、貿易総額は235億ドルだった。フィリピンはかねて、国内産業が打撃を受けるとしてベトナムやインドネシアのような「ゼロ関税」の導入は不可能だとし、代わりに米国産の大豆や冷凍肉の輸入拡大などを提案していた。

米国とフィリピンが貿易協定で合意に達したとトランプ大統領

原題:Trump Cuts Tariff on Philippine Goods to 19% From 20% Rate(抜粋)

(背景などを追加して更新します)

--取材協力:Kate Sullivan、Jordan Fabian、Stephanie Phang、Meghashyam Mali.

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