プライベートクレジット市場で人気の高いファンド形態の一つが、トレーダーやウォール街幹部の間で新たな争点として浮上している。

それが株式市場に上場する投資会社の一種である「ビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC)」だ。BDCはプライベートクレジットのローンをファンドとしてまとめ、株式のように取引できる仕組み。米自動車ローン会社トリカラー・ホールディングスと自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループの経営破綻を受けてBDCが打撃を受けており、1兆7000億ドル(約256兆円)規模のプライベートクレジット業界全体での審査基準や資産評価を巡る懸念が再燃している。

両社は共に公開市場で多額の資金調達を行い、銀行の支援を受けていた。だが、両社の問題は複雑かつ不透明な資金調達手段に端を発しており、投資家の間で懐疑的な見方が浮上。市場では、他にも潜在的なリスクが隠れているのではないかとの不安が広がり、こうした懸念が示される場としてBDCが注目されている。

シティグループのクレジット戦略グローバル責任者、マイケル・アンダーソン氏は「透明性の欠如はプライベートクレジットのポートフォリオの実態を把握できないことを意味し、われわれはある程度、手探り状態にある」と述べた。

米S&PのBDC指数はここ数日で数年来の安値に沈み、BDCが資金力強化のために発行する債券のスプレッドも拡大。市場への売り圧力はやや和らいだものの、BDCポートフォリオで保有されているローンの質に対する不安は根強く、今後数週間で公表されるBDC決算への警戒感が続いている。

 

米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、多くのBDCが簿価を大きく下回る水準で取引されている点を指摘し、投資家により綿密な分析が必要だと呼びかけた。これに対し、オルタナティブ資産運用会社ブルー・アウル・キャピタルのマーク・リップシュルツ共同CEOは、ダイモン氏に事項の経営に問題がないか確認した方が良いと切り返した。

一部の運用担当者は、BDCは日々取引可能であるため、市場心理の変動に過度にさらされると主張。基準価額を大きく下回る水準で株を売却すれば、投資家は不必要に損失を被る可能性があると警告している。

原題:Private Credit’s Most Popular Funds Draw Scrutiny: Credit Weekly(抜粋)

--取材協力:Taryana Odayar.

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