東京都千代田区は18日、投機目的でのマンション取引を防止するため、不動産協会に対して、取引制限を講じるよう要請したと発表した。賃貸住宅の賃料高騰にもつながり、区内に人が住みにくくなるためなどとしている。

千代田区は、購入者が引き渡しを受けてから原則5年間は物件を転売できないよう特約を付けることや、同一建物で同一名義による複数物件の購入を禁止することを求めた。区は都や国に対しても、短期転売に対する譲渡所得税引き上げなど求めていくとしている。

不動産経済研究所によると、6月の首都圏のマンション価格は前年同月比12%上昇した。このうち東京23区の上昇率は13%で、平均価格は1億3205万円と2カ月連続で1億円の大台に乗せた。

SBI証券の小澤公樹シニアアナリストは電話取材で、自治体が不動産業界にマンションの取引制限を要請するのは「珍しい」と指摘。日本は「海外からの転売目的の売買などが増え、価格が高騰する傾向にあった。そこに歯止めをかけたいということではないか」と説明した。

千代田区の発表を受けて、不動産会社の株価は軒並み下落。住友不動産株は下げ幅拡大して一時5%安、三井不動産株は同2.9%安、三菱地所株は下落に転じ同2.4%安となった。3社の株価は下げ幅を縮小して18日の取引を終了した。

小澤氏は仮に取引制限が実施されれば、不動産開発会社などにとって「短期的には分譲マンションの利益が減り、若干ネガティブだろう」と分析。ただ、長期的にみて「不動産価格が落ち着けばビジネスがやりやすくなるという面もある」と述べた。

(背景や専門家の見方を追加して更新します)

--取材協力:佐野七緒.

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