(ブルームバーグ):米国の9月の雇用者数の伸びは低調で、失業率は約4年ぶりの高水準で横ばいとなる見通しだ。労働市場の軟化が続くことになる。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の中央値によると、9月の米非農業部門雇用者数は、5万人増と予想されている。その場合、過去3カ月の平均と同程度となる。失業率は4.3%で横ばいと見込まれている。
米雇用統計は10月3日に発表される予定。ただ会計年度末の9月30日までに議会が歳出法案で合意できず政府機関が閉鎖となれば、その発表は危ぶまれることになる。閉鎖の場合、連邦政府の経済統計の公表は停止される。

そうした事態を免れれば、雇用統計は米連邦準備制度の政策当局者に対して、失業率の一段の上昇を食い止めるのに企業の労働需要が十分かどうかを示す新たな材料となる。
米金融当局は今月、労働市場の軟化を巡る懸念を背景に今年初の利下げに踏み切った。市場関係者の間では、次回10月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で追加利下げが実施されるとの見方が従来よりも強まっている。
9月29日週は、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェファーソン副議長やボストン連銀のコリンズ総裁、シカゴ連銀のグールズビー総裁、ダラス連銀のローガン総裁、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁らの発言機会が予定されている。
企業が輸入関税引き上げなどのコストに対応しようとする中、労働需要は徐々に減退している。30日に発表予定の8月の米求人件数は、2021年以来最も低水準の数値の一つとなる見通しだ。
米国ではこの週、米供給管理協会(ISM)による9月の製造業総合景況指数と非製造業総合景況指数も発表予定。
市場関係者はまた、政府機関閉鎖の懸念を巡る土壇場の動きや、閉鎖した場合の経済への影響にも注目している。
一方、日本では日本銀行の政策委員3人が講演を予定しており、10月3日には植田和男総裁が講演する。
これに先立ち、日銀は10月1日に企業短期経済観測調査(短観)を公表する。トランプ米大統領が関税政策を進める中でも、大企業製造業の景況感が堅調さを維持したことが示される可能性があり、10月30日の金融政策決定会合での利上げ検討に向けた後押し材料の一つとなり得る。
植田総裁はコミュニケーション改善を重視しており、方向性にかかわらず講演でスタンスを示唆するとみられる。

原題:Subdued US Job Growth Expected Ahead of Fed Meeting: Eco Week(抜粋)
--取材協力:Laura Dhillon Kane、Monique Vanek、Robert Jameson、Mark Evans、Brian Fowler、Brendan Scott、Beril Akman.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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