16日の日本市場では債券が反発。前日まで下げが続いた超長期債を中心に反動の買いが優勢になった。円は一時1ドル=149円台前半と約3カ月ぶりの安値に下落。株式も下げた。

国内金利は20日投開票の参院選で与党が過半数を割り込めば拡張的な財政政策に傾くとの懸念から連日で上昇し、15日には長期金利が約17年ぶりの高水準を付け、30年債利回りは過去最高を更新していた。

バークレイズ証券の門田真一郎為替債券調査部長は、「一定程度の消費減税をだいぶ織り込んだ金利水準になっている」と指摘する。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、「参院選後の財政出動への警戒感は残っているが、急激な金利上昇は一服し、参院選の結果待ちのムードになっている」と述べた。

債券

債券相場は超長期債を中心に反発(利回りは低下)。前日までの大幅下落の反動で買いが入った。米長期金利が時間外取引で低下に転じたことも支援材料になった。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、超長期金利に値ごろ感から買いが入ったと指摘。「超長期債は特に出来高が小さく、誰かが買いに入ると値が飛びやすい」と語る。このところ金利上昇が急激だったことに加え、参院選で野党が優勢なことは織り込み済みのため、「参院選までに新しい材料が出なければ超長期債は落ち着く方向だろう」と言う。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

東京外国為替市場の円相場は一時149円台前半に下落。消費者物価指数(CPI)を受けて米国の早期利下げ期待が後退し、ドル買いが先行した。その後は前日からの大幅な円安・ドル高の反動もあり、下げ渋った。

ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは、CPIに対する反応はやや過剰にも感じるが、「短期的にはインフレ上振れを重く見るスイッチが入ってしまった」と指摘。日本時間夜発表の生産者物価指数(PPI)など米経済指標次第でもう一段ドル高が進む可能性を想定した方がいいと話した。

米早期利下げ期待の後退によるドル高のほか、参院選を巡る財政悪化への警戒感が円安圧力としてくすぶっている。石川氏は、これまでの円安進行で与党苦戦に対して多少覚悟ができているとしながらも、参院選まで円は買いづらいとの見方を示した。

株式

東京株式相場は反落。CPIを受けた米利下げ観測の後退で、金融や自動車関連など景気敏感株が下げた。参院選で与党敗北が警戒されることも相場の重しだった。

大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、米CPIを受けて「利下げができないリスクをマーケットがもう一回織り込んでいる」として、景気の先行きへの警戒から銀行などの景気敏感株に売りが出ていると述べた。

T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは、通常、投資家は参院選にはあまり注目しないが、今回は警戒していると言う。与党の勢力が弱まったり、政権交代が起こったりして、8月1日が期限の米国との関税交渉が頓挫するのではないかとの懸念から、今週は買いにくいと話した。

米ハイテク株高を好感して東京エレクトロンやアドバンテストといった半導体関連株の一角は堅調に推移し、株価指数は上昇する場面もあった。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:横山桃花.

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