米ヘッジファンドのVerdad Advisersが日本の小型株ファンドのラインアップを強化する。活況を呈する日本株のヘッジファンドで、海外投資家の関心が小型株にも広がっていることを示す事例がまた一つ増えることになる。

創業者のダニエル・ラスムセン氏はブルームバーグの取材で、現在運用している2本の運用資産総額が上限に近づいたことから、新たなファンドの設定に向けて資金調達を始め、早ければ年内に立ち上げる予定だと述べた。Verdadは2014年に日本株投資を開始。財務諸表上で負債かキャッシュが極端に大きく、資本効率の改善が見込める超小型の割安株に注目して運用する。

海外投資家は高めにしていた中国の投資比率引き下げに動き、その受け皿として株価に割安感があり、米国との関係も良好な日本の注目度が高まっていると同氏は指摘した。「これまで絶対に変わらないと思われていた企業が、より株主に友好的な姿勢を見せ始めている」ことも評価材料だと言う。

東京証券取引所が上場企業に資本効率やコーポレートガバナンス(企業統治)の改善を求めてから2年以上経ち、海外勢は大型株だけでなく小型株にも目を向け始めた。米関税の影響を受けにくいことも追い風に東証株価指数(TOPIX)スモールの年初来上昇率は19%と、TOPIXの14%を上回る。アクティビスト(物言う株主)の英アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)も中小型株投資を拡大する方針だ。

「大型株ではわれわれの戦略を機能させるファクターが非常に希薄化しており、大きな投資リターンを上げるのは難しいが、数千ある小型株なら非常に大きな投資機会がある」とラスムセン氏は話す。

小型株の中で従来より時価総額が大きい銘柄にも投資機会があると見込み、3本目のファンドは投資対象を株式時価総額が4億ドル(約593億円)以上20億ドル未満と、これまでの超小型株ファンドよりも大きくした。今後1、2年で運用資産総額を10億ドル程度に増やすことを目標としており、クオンツ兼ファンダメンタルズのアナリストを1、2人採用する予定だ。

既存の2ファンドの年初来リターンはそれぞれ約39%(8月末時点)と、ベンチマークとしているMSCI日本小型株バリュー指数の28%を上回る。4-6月期に大きく貢献した銘柄は、経営陣が参加する買収(MBO)を発表した日新や、ノジマだという。運用資産総額は計3億ドルで、同社全体の約4分の1を日本株が占めている。

小型株は流動性が低い上に英語での開示資料が十分とはいえず、海外投資家が投資するにはハードルが高い。東証の調査によると、24年末時点で決算短信を英語で開示していたのは時価総額1000億円以上の企業では63%だったのに対し、250億円未満では37%にとどまる。このような課題に対してラスムセン氏は、50-100銘柄に分散することで各企業の変化を落ち着いて待てると語った。

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