米銀シティグループのストラテジストは、米長期国債のパフォーマンスが劣るとの見方に基づく取引推奨を終了した。トランプ政権からの米連邦準備制度理事会(FRB)への攻撃が強まる中でこうした取引を勧めていたが、先週の連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定がほぼ全員一致となり、中銀の独立性に関する懸念が「わずかに」和らいだためだと説明した。

ディルク・ウィラー氏ら同行ストラテジストは、30年物金利フォワードが5年物に劣後するとの見方に基づく取引について「利益確定」を顧客に勧めた。取引の損失許容限度に達したためだとしている。5月に40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)で開始したこの取引推奨を、8月には72bpで持ち高積み増しを勧めたが、今回60bpで終了した。

当初の推奨は4カ月前、トランプ大統領の看板政策である大型減税・歳出法案が財政赤字を膨らませ、長期債に下押し圧力をかけるとの見方に基づいていた。8月終盤には、トランプ氏がクックFRB理事の解任を試み、中銀のインフレ抑制への信認を政治介入が損なうとの懸念が強まったことから、さらにポジション拡大を勧めた。

 

しかし先週のFOMC政策決定では、パウエルFRB議長が一部市場参加者の予想に反し、0.25ポイントの利下げ再開にほぼメンバー全員の合意を取り付けた。より大幅な利下げを主張したのはトランプ氏が任命したマイラン理事のみで、7月にハト派寄り姿勢で反対票を投じたウォラー理事とボウマン副議長(銀行監督担当)は他の理事と足並みをそろえた。

シティのストラテジストは「5月の取引開始以来、供給懸念はやや和らいだ」とし、今月のFOMC会合は「FRBの独立性に関する懸念をわずかながら減じた」と分析。さらに、過去の軟着陸シナリオにおける米利下げ局面は「比較的浅く、ブルスティープ化の余地は限定的だ」として、「当面は様子見に回る」姿勢を示した。

原題:Citigroup Exits Treasuries Curve Trade as Fears Over Fed Subside(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.