(ブルームバーグ):16日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=149円前後と約3カ月ぶり安値圏で推移。米国で消費者物価指数(CPI)を受けて早期利下げ期待が後退し、米金利が上昇していることがドル高につながっている。参院選での与党過半数割れを意識した円売り圧力も根強い。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは16日付のリポートで、CPIの詳細からは関税の影響顕在化の兆しがうかがえ、多くの米金融当局者は利下げ再開に慎重姿勢を維持するだろうと分析。「参院選前後で一時的に150円前後にドル・円が上昇する可能性は否定できない」としている。
6月の米CPIは食品とエネルギーを除くコア指数が5カ月連続で市場予想を下回ったが、玩具や家電などトランプ米大統領による関税措置の影響を受けやすい一部品目は、数年ぶりの高い伸びとなった。スワップ市場では9月の利下げ織り込みが5割強と、14日時点の6割強から低下。米国債は売られ、10年債利回りは16日アジア時間の取引で一時約1カ月ぶりとなる4.49%台に上昇した。
20日投開票の参院選を巡っては、報道各社の情勢調査で自民・公明の連立与党の過半数維持は困難との見方が示されている。債券市場では与党敗北が財政拡張につながるとの懸念から、超長期債を中心に利回りが連日で上昇。「悪い金利上昇」との受け止めから円は売られやすい流れとなっている。
みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト、三原正義マーケットアナリストは16日付リポートで、参院選を控えて日本国債売り・円売りの動きが続く中、日本時間夜発表の米生産者物価指数(PPI)が小幅でも市場予想を上回れば、一段とドル高・円安が進むリスクがあると指摘している。
--取材協力:上野英治郎.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.