(ブルームバーグ):経済学者で米コロンビア大教授などを務めた伊藤隆敏氏が9月20日に死去していたことが分かった。同氏の研究室が公式サイトが発表した。74歳。葬儀は故人の遺志により近親者のみで執り行われたという。
財務省(旧大蔵省)や国際通貨基金(IMF)に務めた経験もあり、日本の経済政策へも影響を与えた。日本銀行の黒田東彦前総裁が財務官時代に副財務官として仕え、インフレ目標政策の有効性について説いた指南役とされる。
黒田氏は総裁就任後の2013年4月に2年で2%の物価安定目標を目指した異次元緩和に踏み込んだ。23年2月のブルームバーグのインタビューでは年内にも目標を達成し、金融政策の正常化に踏み出す可能性があるとの見通しを示すなど、黒田日銀をサポートしていた。
1950年、札幌市に生まれた。一橋大学で経済を学んだあと、旧大蔵省からの内定を辞退し、同大大学院に進学した。その後、ハーバード大学大学院に留学し、79年に博士課程を修了。クラスメートにはサマーズ元米財務長官らがいた。
2006年10月から約2年間、経済財政諮問会議の民間議員を務めた。同年には福田康夫政権が日銀の副総裁候補として国会に承認を求めたが、参院で野党が多数派を占めていた「ねじれ国会」で否決された経緯がある。
東京大学大学院や政策研究大学院大学の教授などを経て、2015年からコロンビア大学教授としてニューヨークに拠点を移して活動。日銀が昨年開いた金融政策の多角的レビューに関するワークショップのパネルディスカッションにも参加していた。
--取材協力:伊藤純夫.
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