トランプ米大統領は15日、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの首都モスクワを標的にすべきではないとし、ウクライナに長距離ミサイルを供与する予定はないと述べた。4日に行ったゼレンスキー氏との電話会談に関する記者団からの質問に答えた。

電話会談について説明を受けた関係者によれば、トランプ氏はゼレンスキー氏に対し、米国が長距離兵器を供給する場合、モスクワやサンクトペテルブルクをウクライナは攻撃できるかと質問。ゼレンスキー氏は、可能だろうと答えたという。

この電話会談の内容は、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)がいち早く報じた。

これについてホワイトハウスのレビット大統領報道官は、「トランプ大統領はただ質問しただけであり、さらなる殺りくを促したわけではない。大統領は殺りくとこの戦争を終わらせるため、休む間もなく取り組んでいる」と述べた。

ゼレンスキー氏との電話会談の前日、トランプ氏はロシアのプーチン大統領と電話で協議した。プーチン氏はウクライナ侵攻の目標について「撤回することはない」と主張し、トランプ氏は協議の内容に強い不満を示していた。

ウクライナのゼレンスキー大統領

一方、CNNは事情に詳しい関係者の話として、米国はウクライナおよびその他の欧州諸国と、ウクライナに提供可能な長距離兵器システムについて協議したと報じた。協議はトランプ氏とゼレンスキー氏との電話会談の後に行われたという。

ウクライナはドローン(無人機)でモスクワへの攻撃を成功させたことはあるが、これまでに西側が提供した長距離ミサイルはモスクワに届くほどの射程距離を持っていない。

トランプ氏は14日、欧州の同盟国が資金を負担し、ウクライナに新たな兵器供給を行うと発表。また、ロシアが50日以内に停戦に合意しないなら、同国に厳しい経済的な措置を取る意向も示した。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は15日、トランプ氏の発表を「深刻」だとしつつ、その分析には時間が必要だと指摘。必要に応じ、トランプ氏の発言にプーチン氏がコメントするだろうと語った。同報道官の発言はインタファクス通信が報じた。

国営タス通信の報道によると、リャプコフ外務次官も15日、「ロシアに要求を突きつけようとする試みは受け入れられない。最後通告など言語道断だ」と反発した。

トランプ氏は2期目の政権発足から数カ月はロシアを説得して停戦合意を成立させるべく外交に取り組んできたが、功を奏せず、プーチン氏に対する圧力を強める方向にかじを切った。

トランプ氏は14日の英BBCとのインタビューで、プーチン氏には「失望した」が、「関係を断った」わけではないと述べた。

原題:Trump Is Said to Ask Zelenskiy If Ukraine Can Strike Moscow、Trump Says Zelenskiy Shouldn’t Target Moscow、US, Ukraine, Allies Discussed Long-Range Weapons Transfers: CNN(抜粋)

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