暗号資産(仮想通貨)ビットコインが最高値を更新する中、弱気派が置き去りにされている。先週末には24時間でビットコイン下落を見越した約10億ドル(約1470億円)超の弱気ポジションが清算された。

コイングラスのデータによると、ビットコインが史上最高値となる11万8847ドルに達した11日、24時間で清算されたトレーダーが27万9000人を超えた。ビットコインの清算1件当たりの最大額は8850万ドルで、暗号資産交換業者HTXで発生した。ビットコイン弱気派の清算総額は約12億9000万ドルと、今年最大となった。

暗号資産取引プラットフォーム、シグナルプラスのパートナー、オーガスティン・ファン氏は「緩やかに上昇するための条件は以前から整っていた。今回の動きは、そうした状況の産物のようだ」と述べた。

ビットコインは、2カ月近く続いていた停滞期を抜け出し10日に急伸。ロンドン時間の11日序盤には初めて11万8000ドルを突破。週末の取引ではさらに上昇し、11万9000ドルを超えた。

一部のオプション取引では15万ドル到達を見込む動きも見られた。ビットコイン以外でもイーサやカルダノなど幅広いトークンで大幅な上昇が見られた。

強気材料はさまざまな分野で積み上がっている。上場投資信託(ETF)への資金流入が再び活発化しているほか、米議会の委員会は14日からの1週間を「暗号資産週間」と定めている。また、4年前からデジタル資産取引を禁止している中国においても、政策見直しの兆しが見られる。

Open interest on Bitcoin options via Deribit.

今回の急上昇の背景について、トレーダーやファンドマネジャーの間では、貿易摩擦からの逃避先としてのビットコインの魅力や個人投資家マネーの流入、テクニカルな要因など複数の要因が指摘されている。

市場の流動性低下に加え、過去2カ月にわたり米国の規制に関する前向きなニュースが相次いだことが、持続的な上昇相場の土台となったという見方が広がっている。

 

原題:Over $1 Billion in Liquidations Shows Pain Hitting Crypto Bears(抜粋)

--取材協力:Emily Nicolle.

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