(ブルームバーグ):高市早苗首相が早期に衆議院を解散する意向を表明し、日本株市場で拡張的な財政政策に期待した「高市トレード」が復活した。株高の持続性を占う上で、為替の円安に歯止めをかけ、インフレと金利上昇を抑制できるかどうかが鍵となる。

東証株価指数(TOPIX)は16日までの1週間で4.1%上昇し、週間の上昇率として昨年7月以来の大きさとなった。高市首相が師と仰ぐ安倍晋三元首相の経済対策「アベノミクス」型の積極財政を再現するとの期待から買いが膨らんだ。総選挙までの期間は日本株が上昇しやすいとのアノマリーも資金流入を加速させた。
急激な上昇の結果、TOPIXの予想株価収益率(PER)は17倍を超え、同指数が底入れした2012年以降では景気後退期を除き過去最高水準に達した。このため、市場ではさらなる上昇には具体的な政策アクションが必要との見方もある。また、債券市場では世界的に金利が低下する中でも、財政悪化への懸念から日本の国債利回りは上昇基調を強めている。

BNYのアジア担当マクロ・投資戦略責任者、アニンダ・ミトラ氏は、市場のインフレ予想を示すブレーク・イーブン・インフレ率の上昇を見る限り、「市場は選挙後にやや緩和的でインフレ志向の政策が取られ、日本銀行の目標を上回るインフレ率がより長期にわたって続くと見込んでいることは明らかだ」と語る。
日本の消費者物価指数(総合指数)は22年以降、日銀が安定目標とする2%を上回ってきた。エコノミストの予想では、ガソリンの暫定税率廃止やその他公共料金引き下げの影響などもあり、今年は5年ぶりに2%割れまで減速する見通しとなっている。

ただ、円相場は14日、対ドルでほぼ1年半ぶりの安値となる159円45銭に下落。貿易加重ベースでは既に1992年以来の低水準に落ち込んでおり、インフレへの警戒感が再浮上しかねない状況だ。高市首相がハト派的な金融政策を志向するとの受け止めが根強い円安の背景にあり、輸出株への押し上げ効果を相殺するリスクがある。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの小林千紗日本株ストラテジストは、「高市政権の最大のリスクは円安」だとみる。「円安が進むと輸入コストの上昇を通じてインフレが再加速し、消費者の負担が増えることで最終的に支持者の反発につながりかねない」と言う。
アストリス・アドバイザリー・ジャパンの投資戦略責任者、ニール・ニューマン氏は、高市首相が選挙で勝利すれば、日経平均株価は5万6500円を目指すと予想。「政府が戦略分野への投資を加速する中で、設備投資ブームが起きる」との見方を示す。
高市内閣への支持率の高さから、市場で自民党の勝利は固いとみられてきた。だが、立憲民主党と公明党が新党結成に踏み切ったことで、ここにきて選挙戦の先行きは不透明になったとの見方も一部で出ている。
ピクテ・ジャパンの市川真一シニア・フェローは、選挙の行方を予測するのは極めて難しくなったとした上で、「ほぼ確実なのは、各陣営は有権者の支持を獲得する上で、競って積極財政政策を打ち出さざるを得ないことだ」と指摘した。
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